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手当て “GOD HAND~奇跡の力~”  作者: さじかげん
29/72

[ボーノ]

[ボーノ]



そこには、外装が木でできているシックで古いお店があった。

決してお洒落なお店ではないが掃除は隅々まで行き届いており清潔感があった。


車椅子が入れるような大きな入り口ではなかったので、僕は彼女に肩を貸してお店に入ることにした。


ガランガラン


中に入るとマスターらしきおじさんが声を掛けてきた。


マスター「いらっしゃい。」


春風ハル「マスターこんにちは。お昼いただきにきました。」

彼女は、いつも言っているような口調で元気にマスターに声を掛けた。


マスター「は、ハルちゃん!どうしたのその格好!」

驚いたマスターは駆け寄ってきて、急いで一番近くて広い窓際の席に案内した。


マスター「おい!洋子。ハルちゃんがきたぞ。足を怪我している。」


マスターが叫ぶと置くから慌てた様子でマスターの奥さんらしい女性が出てきた。


洋子「あら、ハルちゃんどうしたの?大丈夫なの?」


これぞおばさんと言う感じでマシンガンのごとくハルちゃんに話しかけている。


ちなみに僕は言われる間もなく蚊帳の外であり、相手にされていなかったが

マスターが急に僕を見て睨みつけてきた。


マスター「ハルちゃん!怪我させた奴はこいつか。」

言った側から僕に掴み掛かってきそうな勢いだった。

春風ハルは、そんなマスターの雰囲気を感じ取ったのか慌てて言った。


春風ハル「マスターちょっと誤解しないで。その人は、私を助けてくれた人なの。

怪我をさせたのは違う人。助けてもらったお礼にお昼をご馳走しようと来たの。」


彼女はまくし立てるように言った。


マスターが僕の前まで来ている。

掴み掛かってきそうな勢いは止まり、そこで僕の顔をジロジロと見始めた。


僕は、その迫力に少し後ずさりした。


洋子「私は、そうだと思いましたよ。まったくあんたは早とちりなんだから。」

なぜか勝ち誇ったような顔をして言った。


マスター「まあまあの男だな。ふーむ、じゃあこの男はハルちゃんの彼氏なるのか。」


そう言った途端、春風ハルは一気に耳まで赤くなって叫んだ。


春風ハル「マスターーーーー!!」

その声は、間違いなく外まで響くような大きな声だったことには違いない。


まだ、この時は知らなかったが、他にお客さんがいなくて良かったと

騒ぎが落ち着いた頃に、僕はそう思った。


春風ハルがまだ大きな声を出し、息を切らしている時にマスターは続けた。


マスター「やれやれ、そんなに大きな声を出さんでも良かろうに。」

呆れた様子だけど、少しにこやかに言った。


マスター「それで、足は大丈夫なのかね?」


春風ハル「大丈夫じゃないけど、大丈夫…」

春風ハルは、少しまだふてくされたように答えた。


マスターと洋子は顔を見合わせ、やれやれといった幹事の顔をした。

マスターは、春風ハルの患部を見て言った。

マスター「これは捻挫だな。洋子ちょっとシップ持ってきてくれ。」


洋子は、返事の代わりにすぐに奥に引っ込み、すぐに手にシップと包帯を持って戻ってきた。


マスターは手馴れた様子で、春風ハルの足首辺りにシップを張り、包帯で軽く固定した。


マスター「終わったぞ。念のため、一度病院で見てもらいなよ。」


春風ハルは、無言で頷いて小さな声で答えた。

春風ハル「マスターいつもありがとう…」


マスターはにこやかに笑いながら、春風ハルの頭を子どものように撫でた。


マスターが処置を終えると、僕の顔を見た。


マスター「おまえさん。ずっと立たせて悪かったな。こっちに座りな。」

春風ハルの座っているテーブルを挟んだ向かい側に座るように促された。


僕は、軽く少し頭を下げ、席に座った。

マスターは座った僕の前に立ち、頭を下げて言った。


マスター「この子を助けてくれてありがとう。」


僕は、あわてて言った。

僕「ちょうど、通りかかって少し助けただけですから…」


マスターは、僕の言葉を遮って、肩に手をやって言った。


マスター「謙遜するな。行動したことに、それだけの強さがある。」


そう言ってマスターは去っていった。


ふと前の春風ハルを見ると。

声を殺して泣いていた。


こんな僕にも強さがあるのだろうか。

そもそも強さってなんだろう。

そんなことを頭の中で考えながら、彼女の涙が納まるのをじっと待っていた。


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