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美濃隠れ  作者: yayat
8/12

stalk

前回投稿ボタン押すのを忘れてました。


よくあるミス。













矢倉の手料理が並ぶ。


「料理とかは得意だったりする?」



「あんまり。」



「あれ、僕に女子力負けちゃうのか。」



「多々、ヤグラってイライラさせてくる事あるよね。」



「僕流の冗談だよ、矢倉ジョーク。

家事の手伝いはどれくらい?」



「一通り。料理は親がしてただけで、他は私がやってた。」





味は悪くない。作り慣れてるのかどうなのか。


店で食べるような商品的な味じゃなくて、家庭的で。


私のにとってのおふくろの味とは違うわけだけど


こっちの方が、安心する。




心理的な問題な気もする。味の感じ方なんて雰囲気や心持ちでいくらでも変わる。



目の前にいる男は、親より私の事を知らないだろうけど、知ろうとしていて。




何より手を差し伸べてくれた。


好み云々はさておき、これからの生活は彼と営まれる。残りはあるが、危機感はない。





いや。前提をもう一度考え直さなければならない。


金の切れ目は命の切れ目、それは当然。


だが、こんな簡単に自分の社会から逃げる事ができたなら、私はもっと早くに実行していたはずだ。


最も確実で困難、何があろうとも逃げられる手段は自殺だった。




この失踪という手段はこれほど簡単にできて良いのだろうか。




誰も探しはしないだろうと悲観してみたりもしたが、現実的に考えれば普通は探される。




_____ヤグラが電車を乗り継いだ、あれで案外うまく誤魔化されているのかもしれない。





「追っ手とか、来ないのかな。」



「…仮に捜索されても大丈夫。国鉄と私鉄を混同させて、変装を幾度もしたんだ。」



「そうだよね。これから私達は何するの?」



「具体的にやる事なぁ…別に音楽やりたいわけでもないなら、他にやりたいこととかある?」



「やりたいこと…?」



「やってみたいこと、やってみたかったこと…できなかったこと。何でもいいよ。」



「特に…

私のやりたいことを、やるってこと?」



「そう。でも無いなら…僕のやりたい事に、付き合ってもらおうかな。」



「はぁ。それならヤグラのやりたい事を優先すればいいのに。」



「一応確認しときたかったんだ。じゃあ後で僕の部屋に行こうか。」



家族以外の異性の部屋なんて…


と思ったけれど、その異性の家で部屋を借りて寝泊まりしている時点で特に意識できなかった。



後片付けをして入浴等を済ませ、ヤグラの部屋に入った。


男性らしい部屋というのを知らないが、清潔な印象を持った。


人に見られてもどうとも無い内容だ。



ただ、床に置いてある機械は、その部屋の個性を主張している。



「ここに座って。」



布団に座ったヤグラの隣で腰を落とす。



…何をされるのか。




「じゃあこれ。夜が長くなるけど、大丈夫そう?」



何をするのか、を想像するべきだった。


勝手に意識した自分が恥ずかしい。



渡されたそれは、コントローラーだった。






「飲み込み早いし筋も良い…こういうの得意?」



「スマホのゲームとかすぐ飽きるけど。」



「人とやるゲームは格別なんだよ。ソロでcpu相手でも楽しいといえば楽しいんだけど。」




二人でやるなら格闘ゲームとか対戦ゲームなんだろうけれど、私はヤグラとデュオを組んで銃を撃っていた。




「上達したら詳しい戦術とか教えていくね。自分で発見したりするのも乙でね。」



ヤグラは今までになく楽しそうだ。



初対面の時のあの堅い姿から、今やジャージにTシャツへとラフチェンジしている。



最初は隣に座っていたが、今は教わるためにヤグラの腕の中に居る。



冷房が少し強めに効いていて、温もりが季節外れに心地良い。



天井の灯りは消されていて、代わりにスタンドライトに照らされている。



そのライトも仄かに夏色に照らす程度で、眩しくはない。



慣れない事をしながら夜を更かせば、うつらうつらとするのも当然だ。





私は抗わず意識を放った。


幸せなまどろみの中、おやすみと声が聞こえて



このまどろみは、より深く朧に決定的になった。










連投になった気もするけど、前書きの通り押し忘れで。

ここまで間が空いたのはアニメのせいです。

今更リゼロとかバッカーノとか見直してて。

気軽に気ままに気にせず勝手に投稿してるので悪しからず。

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