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一挙一動丁寧に描写したお陰で進展が見えてない。
ゆったりして行こうね。
ちなみに矢倉も美濃も将棋の囲いの種類です。
買い物を済ませた所で、腹ごしらえをする。
ヤグラは洋風の食べ物が好きだという。
特に食べたい物も無かったので同じ物を頼んだ。
「楽器、まだやってた?」
中学高校と部活は必須で、楽そうだからと文化系の部活を選んだ。
結果的に吹部しか無くそこに入ったが、やはり嫌になった。
上達はしないし責任は重い。部活を辞めることもできず、好きでもない物で周りと話はできない。
そこそこ結果を残す高校に入ってしまったために、そこの吹部での練習は過酷だった。
プレッシャーは尋常じゃないし、休みも無かった。
運動部に比べたら楽なんだろうと思いながらどうにかやっていたが、これも私のストレスの一つだった。
「うん。ずっとホルンやってた。」
「まだやりたい?」
「…全然。」
「そっか、それはそうだよな…
僕も音楽やってたんだ。ギター。」
「ギター…軽音でもやってたの?」
「そうそう。大学で、ちょちょいと。」
ちょちょいとできる部活だったらどれだけ良かったか。小さく鼻で笑って話を切る。
「…ちょちょいとしかしてないのに、音楽やってるって自称するのは気に食わない?」
「まぁね。」
「だったら、"私はもっとやってた"って感じで突っ掛かればいいのに…真面目だね。」
「は?」
「自分で音楽やってる、なんて思いたくなかったんでしょ?」
「…まぁ。」
「そこ、誇っちゃえばいいのに。立派な経験、将来生きるし。」
「こんなの、何の役に立つの。」
「自慢。…結構大切な事だぞ、誇りになる。」
「生きる上でじゃなくてイキる上でよね。」
「しつこく言ってくるようならそれはウザいけど、何かしらやってたのは自信になるだけでなく、頼りになる場面も来るよ。
とにかく何でもいいから何かしよう、受動的な事でもなんでも。」
「暇だしそうかな…ずっとあの家に居る事になるんでしょ?」
「学校も行かないわけだし、そうだね。
あ、僕もほとんど家に居るよ。」
「そうなんだ。」
いいのかそれ。
「誘拐するくらいだからね。僕も切羽詰まっちゃって。」
「金の切れ目が縁の切れ目どころか、命の切り目なのね。」
「そうそう。その時の為の薬だよ。それまで楽しく暮らして、二人で幸せになろうって事。」
「とても素敵なプロポーズ、嬉しい。」
「そこまで皮肉めかさなくても、どうせ死ぬなら楽しく遊んでおこうよ。」
______ヤグラの事情がようやくわかってきた。
職を追い出され、死のうとしてた所で私を見つけて今に至る…納得できるかも。
一応折り返し地点に立ちました。
矢倉君の事情の仮説を立てた美濃ちゃんのおはなし。
あとそう、充電器が青く錆びるんです、ダレカタスケテ。




