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矢倉君と美濃ちゃんです。
自分の部屋が与えられ、そこで寝た。
内装は質素。クローゼットは部屋の備え付き、ベットではなく布団が敷かれてるのみ。
部屋からは何となく男の匂いがした。
布団にはそれは染み付いていない。
冷房から流れる風は少しカビの匂い。
欲しいものは明日買う、と言われたので、欲しい物を考えながら眠ろう。
何か考えないと、握りしめた薬の事を頭に浮かべてしまう。
案外寝れるものだった。
親から何か言われた夜でもないのだから、それはそうか。
それにもうあの親と会う事はない_____
_____この生活が終わるなら死ぬし、終わらなければあの家に戻ることもないのだから。
加えて寝起きにストレスも無かった。
学校に行く事も無く、この通り親に会う事もない。至高だ。
手中には夜から変わらず薬があった。
今はこれが心の拠り所に思える。
着替えを済ましリビングへ向かいヤグラの様子を伺う。
見るとヤグラは複数の電子端末を弄っている。
隠れていた訳でもないので当然気付かれ
「よく眠れた?」と。
「今までよりも安心して寝れたかも。」
「やっぱ渡した薬のおかげかな。」
「え、部屋に入ったの?」
「心配だったし…」
自殺するという少女がいつでも死ねる状況で部屋に一人。それは確かに。
「あ、そういう事はしてないからね」
ヤグラは微かに焦りながら弁解をしつつ
「ちょっと顔覗いたくらい。」
わざわざ自白。
身体に自信がある訳ではなかったが、夜に何かされる事を多少は覚悟していた。
勿論望みはしないけど。
「はぁ…顔洗ってくるね。」
その程度の被害なら気にする事も無いので、呆れた様な態度を示しつつ会話を切る。
朝は低血圧なのか、精神的な何かが原因なのかで物は食べれない。小学生の頃は確か普通に食べれていた。
昼や夜なら、日によって食べる事はできる。
「じゃあ行こうか。」
ヤグラ曰く、店に向かう。
最中、車で
「これ、飲みやすいよ。」
お手軽数秒チャージがキャッチフレーズのゼリーだ。
爽やかなフレーバーで、確かに朝でも食べれた…というか飲めた。
「体験談。僕もこれにはお世話になったんだ。朝何か食べるの、結構大切だよ。」
「前まで朝、食べれなかったの?」
「今もだよ。僕の場合、習慣化しちゃって。
やっぱお昼も食べるのきつい?」
「日によっては。」
「そっか…」
彼の目元が影掛かった気がした。
出発してからそこそこしてショッピングモールに着く。
エントランスの自動ドアをくぐり
「デート、久々だなぁ。」
ちょっとした空間にそんな言葉が響く。
「ヤグラ、彼女でも居たの?」
「もう結構前だし、過去形な訳だから、寂しい話だよ。」
「今居たら女子高生を誘拐なんて、そんな事出来ないだろうけどね。」
「美濃のお陰で生き急ぐ事も無くなったよ。やっぱり一人じゃ寂しいからね。」
「別に私、彼女らしい事出来ないけど。」
「求めても無いし、僕こそ彼氏らしい事出来ないよ。」
「(結構優しくしてくるけど。年上だし保護者っぽい。)
そうだね。」
「じゃあ手でも繋いでみる?」
「(やっぱ完全保護者じゃん。)」
そう思うと抵抗は無かった。
これ書いてる最中何回か寝落ちを重ねて朝の11時投稿。




