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2話目です。リンク開いてくれて感謝です。
-一応注意-
※命を軽んじているような描写があります
※この作品は自殺を幇助する物ではありません
目の前の男の風貌は整えられていた。
髪は整髪剤、服はスーツとしっかり固められている。
顔が良いとは言えないが清潔な印象。というよりまるで新郎だ。
「止めに来たわけじゃないよ。これ、知ってるよね」
薬だ。
自殺を考える際、服毒も勿論考えた。
参考にしたとこにあったような、そんな代物。
「この世から逃げる必要は無い。
眼前の世界から逃げる事が出来れば。」
この男が何を言いいたいかはわからない。
ただ、誰もが目を逸らした私の目をしっかりと見ている。
「報酬は君。失敗したら薬を使って二人でこの世から逃げる。」
本当に居るんだ、こんな奴。
「君って言っても身体じゃない。
僕も命を賭けるんだ。
僕が欲しいのは君の命そのもの。
不安だろうしこの薬を一つあげるよ。」
本筋が見えない。こいつ、何をしたいんだろ。
「僕の…ヒモになってくれないか?
どうにか幸せになってもらおうと思う。」
呆気にとられたが、私の心境は
どうにでもなれ、だった。
「…いいけど。逃げるって、どうするの?」
男の表情は崩れて、僅かに口角が上がった。
「ついておいで。少し長丁場になるけど。」
さながら魔王の城から姫を連れ出す勇者か、
意地悪な家族からシンデレラを連れ出す王子か、なんて場面。
しかし今の私はそんなロマンスを感じれなかった。
男に連れられ未だ暑さ残るコンクリート城を、私は後にした。
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目紛しいものだった
夕の中、まずバスに乗り込む。
中で男がスーツを脱いだかと思えば、彼の少し大きめなカバンからキャップが取り出される。
持って、と頼まれたスーツはスーツではなくなっていて、裏を覗きそれがリバーシブルである事がようやくわかった。
嫌かもしれないけど立つ時に着てね、と。
男はワイシャツの袖を捲り上げ、特に話す事もなくバスを降りる。
そこから何度電車を乗り継いだかわからなくなった。
2時間、3時間も過ぎた頃には全く知らない場所まで来ていて、東京から千葉まで来ていた。
都度都度男の姿は変わり、最後には半袖Tシャツ、ロールアップされた短パンになっていた。
無人駅を降り、レンタカーだと語られた車に乗り込み、コンビニに寄ってある程度の買い物をした後、ようやく男の住処であろう場所に辿り着く。
「お疲れ様。必要なものもこれでは足りないだろうから明日、買いに行こう。」
など言われた後、シャワーを勧められる。
女物の着替えも色々あった。
もう夜も更けに更け、外は静寂と暗がり。
入れ違いで男は風呂場に向かう。
この先の事が、正直不安だ。
家は広い…というより、部屋が複数ある。
一つドアが解放されていて、その中にはホテルの一室の様に整理されている部屋があった。
残念ながら鍵は無い。
贅沢は言ってられない。
部屋があるだけで十分だ。
…なんて、死のうとしていた人間がそんな事を考えるんだ。
覚悟が足りなかったんだろう。
第一覚悟ができてるのなら今すぐにでも死ぬ。
そのための手段は、あろう事か私の自殺を止めようとした男から貰ってるのだから。
薬を手に取り見つめているところに男がやって来た。
何となく後ろめたくて薬をポケットに突っ込む。男は気にする素振りも見せずに
「じゃあ、今後の事について話そう」
なんて切り出した。
次もさっさとうぷります。
そこそこ閲覧があってとても嬉しい…




