felt
人生の分岐点は、平穏な日常に隠れる縫い目が見つかった時。
サブタイの通り今回は反対側に。
trpgのシナリオの書き方と全く同じにしてたがために生まれるノベルゲー式ノベル。
「塩コショウかー、タレかー、どうしようかなー。」
呑気な声をかき消すように、焼かれた肉から滲み出た油が音を出す。
私は矢倉に物置とだけ説明された部屋に入っていた。
中は少し埃っぽく、最近使われた形跡がない。
加えて風景にはダンボールばかりで、するだけした引っ越しの跡を放置されたようだった。
一つ一つ探る。
あったのは中学で配布されていた紙類。それと見たことはないが中学の名前の書いてある書類。
何となくわかってきた。
辻褄を、合わせられそう。
中学には吹部以外に、軽音部があった。
そこはもう既にグループが出来上がっていて、私が入り込むような余地は無かった。
これも、私が吹奏楽をやる羽目になった原因の一つだ。
その時の軽音部の顧問は、若い男だった気もする。
………部活の話の時も妙だった。
私がどういう状態かわかる大人は、先生くらいなものだ。
私を迎えに来るのを決めていたから衣服も用意した。
いざ死ぬと決めてあの建物に入り屋上に上がった所を見られたからだ。
あの大人たちは自殺者が出る事を何としてでも阻止しようとしていた。
矢倉の適当に言いくるめて私を生かそうとしてるだけなんだ。
周りの大人達が私を追いかけてこないのも矢倉が連れ出して私を生かそうとする事を承知しているからだ。
最初に矢倉の笑顔を見た時のあの印象は間違っていなかった。
結局私を見下している。
真っ当に生きようともできない、他より劣った私を。
そうに違いないんだ。
「美濃…?夕餉だけど…何か探してるの?」
「あのさ。矢倉って先生でもやってたの?」
「…?
そうだね、先生はやってたよ。結構大変だったなぁ。」
「今でもでしょ。」
「残念ながら僕はニート…」
「気を許そうと、思ってたのに。」
彼と出会ってから、これに頼りきりだった。
最初から、ずっと。
辛い状況になったら、嫌な場面になったら使えるからと。だから安心できていた。
あの長く乗った電車から続いた延長戦は、楽しいものだった。
気楽だった。
今騙された事に気が付いて。
それらに対する後悔の方が全く打ち勝つ。
だったら
早く
楽になるべきだった。
封を開け口に放り込む。
高鳴った心臓の音が
スーッと
ミントの爽快な味で静まった。
容れ物がスタンガンになるやつ。
何となくミンテ☆アの方がカバンに入れやすくて好き。
次ので終わりの予定です。
また時系列はあのシーンに戻ります。




