right
分岐です。
rightだけど読み飛ばして良いと思う。
訝しみ、勝手な想像を膨らませ不安に陥ってた私の頭に手が触れる。
不安は消えなかった。
消えなかったが、端に追いやられた。
隅で陰になった。
染みとなって取れる事は多分ないんだと思う。
だがそんなものは気にしなければどうという事はない。
彼が話さない以上、大切な事でも無いのだろう。
大切な事でも無い。
私がこの三日、矢倉と過ごして
雲隠れを経験して
学んだのは、逃げる事。
ありきたりだが、最上の手段。
ありもしない責任を感じ、現状敷かれている道を進み、そこから外れる事をしなかった。
一度は捨てた命。仮に裏切られ悲惨な最期になるような道を辿ろうとも、また逃げ出せばいい。
染みからも、彼が私に話さない事からも、逃げ出せばいい。
目を向けなければいい。
今自分の気の向く方に、目前の安寧に浸り切ればいい_______
「ん…反撃された…あぁ、髪触られるのはきつかった?」
「これが反撃なわけ無いじゃん。」
「抵抗にも思えない。これじゃ離れられないし。」
「矢倉の事、信じていいんだよね。」
「君の事騙す理由も無いし、ここには美濃と僕の二人だけなんだ。二人の世界で君を騙しても何も意味無いよ。」
「私の事助けてくれてありがとうね。」
「だから、助かったのは僕なのに。」
そこから時間をかけて、私達は関係を持った。
交合う私達の間に子は為さない。
それには責任が伴うからだ。
負担は作りたくはなかった。
結局逃げにも飽く頃、学のある矢倉は職につき、世間と同じ様生きる道を選び、責任を背負うようになる。
こんな結末で、あの染みの事は綺麗に忘れ去られた。
これで、良かったんだ。
私の雲隠れを、誰も咎め切る事は無かった。
本を薄くする必要も無いかなと思った。
時系列はまた全話の直後に戻ります。悪しからず。




