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青春は死んだ。  作者: 天狗マン
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青春は死んだ?

 青春に神など存在しない。俺がそれに気が付いたのは中学二年生の夏だった。

 まぁ、そのころは俺もうぶだった。   

 青春という甘い言葉に惑わされ、ノリでそのころ一番仲の良かった女友達に告白した。 

 今思えばなんでそんなことしたんだろうか?

 どら○もんがいるならば、「ぼくの黒歴史を消し去ってよ!どら○○ーん!」だ。

 ここで簡単なクイズをしよう。なぁに簡単さ?俺の告白に対して、女の子がとった反応についてだ。返答は一言。三文字だ。「き」からはじまって「い」で終わる、人の心をバッキバッキに粉砕する言葉ってなーんだ☆?

「きもい」

 その日、俺は清々しいほどの晴れていた青い空に誓った。

 二度と青春なんかしない……と

 その日、俺の青春の神は死んだ。


「ど・う・い・うつもりだ天野原あまのはら?」 

 俺のクラスの担任伊藤先生はとてつもなく低い声でそう言った。

 場面は変わって、高校二年生。 

 絶賛、説教され中である。

 個別面談をさぼったら、俺の下駄箱に一通の脅迫状が。

 『教務室に来い。さもなくばお前の命はない』 

 普通、そういうのって自分と関係のある人が人質に取られるもんだよね?

 何?お前の命はないって。いつの間にか命でも取られるのん?

 まぁ、自分が人質に取られたならしょうがないと思い教務室に入った瞬間、飛んできたのは右ストレート。

 それはそれはいいパンチだった。K.Oだったよ。 

 周りの先生はドン引き。それから、なんやかんやあってこの状況だ。

 「伊藤先生、何の」

 「ほう、いい度胸だ。よし、歯食いしばれ」

 「すいませんでしたぁぁぁぁぁあ!」

 俺がその場で繰り出したのは、見事なまでの土下座。トネ○ワさんもびっくりの土下座だった。

 そんな俺を前に足を組み、伊藤先生はこめかみに指をあてる。 

 「私はな、仕事だからこうお前を指導してやっているんだ」

 「はぁ」 

 「社会に出たらいろいろ苦労するんだぞ?」

 で、でたー。社会に出たこともないのに、社会どうこういう田舎の体育教師ー笑笑。

 なんで体育教員って偉ぶってんだろうな。腹立つ。原辰徳。羨ましい。

 そんな真剣に話を聞かない俺を見て、伊藤先生が飛べなくなった鳥を見るような目で

 「こんな教員の話でも人の話はちゃんと聞こうな?天野原?」

 本気で心配された。すいませんなんか……。

 そんな、伊藤先生がようやく本題に入ろうと机の上にある個別面談の紙を手に取る。

 「今から数個の質問に答えろ」

 その謎の緊張感により、背筋が伸びる。

 「進路の希望は?」

 「ないです」

 「将来の夢は?」

 「ないです」

 「じゃあ、どんな仕事に就きたい?」

 「楽な仕事…」

 「友情って何だと思う?」

 「薄っぺらい会話をして、適当に笑う関係」

 「……お前友達いないだろ」

 「はい」

 そういうと、伊藤先生は個別面談の紙を机の上にたたきつけた。

 ハシビロコウのような目でこちらを見つめる先生が、突然俺の手首をつかむ。 

 「い、いったい何を……」

 「ついてこい。お前に青春を教えてやる」

 その言葉は悲鳴と共に教務室から消えていった。

 

   


 

 

 


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