そのいち
この章はゲーム事情について語って頂きましょう。
最近、お姉ちゃんが新しい何かを使ってる。あれはどうみても携帯ゲーム機!いつ買ってもらったの?サンタさんに頼んだのかな?
ちょっと気になるからお姉ちゃんのいなくなった隙に手にとってみると案外おっきくてずっしり重い。
電源入ってないから探して入れてみる。
「おー、白黒だ」
しばらく眺めてると今さっきまでやってたんだろうゲームのタイトルが出た。ぶっちゃけ何これ知らない。あ、でも名前だけは知ってる。
「あー!朱音っ、それお姉ちゃんのだから触っちゃダメ!」
「うっ、ごめんなさい。ねぇねぇお姉ちゃんそれどーしたの?」
「これはお姉ちゃんのだから朱音にはやらせないからね」
勝手に触ってたからやっぱりお姉ちゃんに怒られた。気になるけどお姉ちゃんのなら仕方ない。私はあれで遊べないんだろうな。いいなぁ。
「あっ、ゆい姉ちゃん、あか姉ちゃんどーしたの?」
「和希っこれはお姉ちゃんのだから触っちゃダメだよ!」
騒いでると弟の榎本和希が乱入してきたけどお姉ちゃんは譲る気が無いみたいで触らしてもらえない。
これはもう無理だから台所に行ってぶすくれるしかない。お姉ちゃんだけずるいよ。
お姉ちゃんずるいだけが頭を占める中テーブルに突っ伏してぶーたれた。触らせてもくれないとかけちめっ。
「朱音、どうしたの」
「お母さんっ、お姉ちゃんがね何かゲーム機貰ったみたいなのに貸してくれないの!」
「サンタさんから貰ったのかしらね。そのうち貸してくれるから」
「そのうちっていつーー・・・」
最後の文句には耳を貸さずお母さんはどっか行った。そのうちなんてどうせやってこないもん。ずっとゲーム機なかったんだから絶対お姉ちゃん一人占めするに決まってる。諦めるしか無いのかなぁ、すっごい気になるんだけどなぁ。
後日
「ねー、あかねーあーかーねーあかねあかねー、ねーねー朱音っ」
「ん?何?」
お姉ちゃんが私の名前を連呼しながら降りてくるのはいつもの事だけどなんで和希に同じことしないんだろう。私だけすごい名前呼ばれる、しかも連呼!
「はいこれ、お姉ちゃんが特別に貸してあげる!」
「ほんとっ?!いいの?!」
「お姉さまは優しいからねっ。ありがたく思いなさい」
「本当にこれ貸してもらってもいいの?」
フフンッとか言って偉ぶるけどムカつきはしないのは何でだろう、慣れてるからだなきっと。
貸してあげるって言葉と共に渡されたのは先日のゲーム機!今ならお姉ちゃんがキラキラ光って見える!これを貸してくれるとかお姉ちゃんまじ優しい。
「いいよ。ただし、条件があります」
「えっ・・・ナニソレ」
30分とかちょっとやったら終わりじゃん!どうしてそんな短い時間なの?やっぱりお姉ちゃん悪魔だったわ・・・。
「30分しか出来ません」
「なにそれっ、時間制限?!」
「ぶっぶー、ハズレー。お母さんとお父さんが決めた事でーす」
「私と和希は30分?」
不平等だ不公平だ。下二人は30分って制限があるの?お姉ちゃんは時間無制限とかありえないしっ。
「朱音ちゃーん、和希呼んどいで」
「はぁい・・・。和希ー!お母さんが呼んでるー!」
会話に割って入ってきたお母さんの言う通り和希を呼ぶが、私は一切動かない。上の階に向かって叫ぶだけだ。お母さんが呼んでるとなれば降りてくるだろう。私が呼んでるだと来ないけど。
同じく上の階から返事が聞こえると降りてきた。これで兄弟そろい踏み。
「お母さんなぁに?」
和希の言うとおり私もお母さん何?状態だ。意味がわからず和希を呼んだんだから。でも、お姉ちゃんは全部知ってるっぽい。とりあえずゲーム関係だろう。
「結にゲーム機がプレゼントされて朱音と和希にも貸すように言いました。そこでお父さんとお母さんは話し合いをしてゲームをしていい時間を決めました。一日30分です。ちゃんとタイマーかけてやるように。後、暗いところでやっちゃいけません」
「「「はーい」」」
これで晴れて30分ゲームが出来る!あれで遊べるんだ!ひゃほーい。
結ちゃんがもらったゲーム機はのちのち薄型になりカラー化した、あの携帯ゲーム機です。
和希くんは朱音ちゃんの2つ下。