そのに
今日も玄関が鍵と言う名の結界に阻まれている。どうしてこうおばあちゃんが居ない時に限って家につくんだろうなんて考えつつランドセルから鍵を取り出す。
ピンク色の紐に繋がれたおうちの鍵。私がピンク好きって事でお母さんがつけてくれたやつ。めったに使わないから基本的にランドレルのポケットに入れっぱなし。
鍵穴に挿してくるりんとまわせてカシャンなんて中で突っ張りが外れる音がする。
「ただーいまー」
「あら、お帰りなさい」
誰も居ない家でもただいまって言うのは癖だよなー。今日はおばあちゃんの置手紙なしっと。そんな確認をしつつ靴をもそもそ脱ぐ・・・ん?
お か え り な さ い ?
家の鍵かかってたよな?うん、掛かってた。私鍵あけたもん。
しかも聞こえてきた声は馴染みのある声だよ急いで廊下に上がって目の前の扉を勢いよく開ける。
「おばあちゃんいたの?!何で鍵かけてるのー・・・」
「さっきお手洗い入るから鍵かったのよー。ごめんおばあちゃん開けるの忘れてた?」
「もー・・・ちゃんと開けといてよぉー」
まぁ防犯に越したことはないけどお手洗いの為に鍵かけるのかおばあちゃんは・・・不思議生物だな。
とりあえず襖を閉めてお目当てのテレビ台代わりにしてる食器棚をロックオン!
「おやーつおやつー、ジャムビスケット〜♪」
「いつものタッパーに入ってるよ」
「やった!いっただっきまーす」
勝手知ったるおばあちゃんの部屋。欲しいおやつが無いか漁る。何を目当てにしてるか知ってるから教えてくれるおばあちゃんの優しさが嬉しい。
どこに売ってるか説明何度もしてもらってるけど、お店の名前で言われるからわからんからここで貰うしか道はない。
ランドセル下ろして新しいお茶を二人分入れて帰宅後の小さなお茶タイム。