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第6話:選択・・・

〜翌日〜

ジャニスは店番。セフィは工房。シフォンは昼寝。

最近の日常・・・

キィ〜・・・・パッタン

「らっしゃ・・・」

う、わ、女冒険しかよ・・・・

「あら?セフィアは?」

・・・・・・・

「ちょっと、あなた。聞いてる?」

「あ、あぁ、セフィなら奥にいますよ。な、何か?」

「前に注文を御願いしていた者なんだけど。」

「あぁ、妖精の卵っすね。」

「えぇ。」

「ちょっと待っててください・・・」


「おぅ、セフィ。お客だ。」

「あ、はい。」

「妖精の卵、取りに来たってよ。」

「うわ・・・・・今行くね。」

「あぁ」


「もうちょっとね、待ってて下さいって。」

「そう。・・・あなた・・・セフィの・・・」

「いやぁ、ただの店番でさぁ。」

「・・・そうなの。」

「お客さん・・・どこか冒険に行くのかい?」

「そのつもりよ。冒険者だもの。」

「1人でか?」

「1人じゃ、いけないかしら?」

「いや、あんたみたいのが1人じゃ・・・」

「女だから?」

「まぁ、それもある。ただ、男だってパーティー組んで冒険に行くぜ。」

「誰かいい人がいれば一緒に行っても構わないわ。」

「なるほど。ってぇ事は、俺が入る余地もあるって事だな。」

「へぇ、坊やも冒険者になるの?」

「坊やって呼ばれるほど若くはねぇぞ。それに今は一応冒険者だ。」

「そう。考えておくわ。」

「あ、すみません。シェーンさ・・・ん・・・・お取り込み中?」

「いや、かまわねぇ。」

「あ、そぅ・・・」

「あのぉ・・・実はですね。」

「どうしたの??」

「実は、まだ出来てないんです。すいません。」

「あら、困ったわね。」

「すみません。何とか明日までには・・・。お代は結構ですので。」

結局昨日はそのまま寝ちゃったしね。

「この間のバレスター商会の騒動、知ってるわよ。私もちょうどあそこにいたから。」

うわ・・・イヤなところ見られちゃったなぁ・・・

「え!あ、・・・・で、でも」

「ちょうどあの時はアリタニーヤ河の石がどこにもなかった。」

「そうです・・・けど・・・」

「時間がなかったけど注文を受けてしまった以上は造らなければならない。」

「・・・・」

「でも、間に合わなかった。っていうこと?」

「えぇ。でもそれはお客様には関係のないことです。」

「ふふ、確かにそうね。そういう1本気な性格、嫌いじゃないわ。」

「あ、はい。ありがとうございます・・・」

「明日、商品と引き替えに代金を払うって言っても受け取ってもらえないでしょうね。」

「え、あ、はぁ・・・」

バレスター商会の事を見られてたからなぁ・・・

「いいわ、明日まで待つわ。」

「あ、ありがとうございます。」

「ただし、条件付きよ。」

「はい・・・」

「明日までに完成させて代金を受け取るか。そうでなければ・・・」

「???」

「ペナルティーとして用心暴君が私と一緒に冒険に来る。」

「へ?」

「あ?」

どうしてそうなるの?

おれは用心棒なんて言ってねぇぞ?

「今度冒険に行こうかと思ってるの。その時、あなたの用心暴君を私のパーティーに加える。」

「ちょ、ちょっと待ってくれ。俺の意見も聞かずに・・・」

「あなたにはさっき一緒に行くかって聞いたはずよ。」

「・・・あぁ、確かにな。」

「じゃ、決まり。報酬は取ってきたアイテムの3割をお支払いするわ。後はそっちで決めてちょうだい。」

「おいおい、ちょっと待ってくれ。おれはここの店の用心棒だ。俺が居なくなったら困るだろう。なぁ、セフィ。」

「え?」

まぁ、確かに・・・いろいろ便利だし・・・物騒だからねぇ。

「えぇ、まぁ。」

「そう・・・じゃ、こうしましょう。セフィも一緒に来たら?」

「え?!わ、私も冒険にですか?!」

「そうよ。」

「無理ですよ。第一戦闘経験なんてないし、冒険に行っても何も出来ないし・・・」

「あら、そんなことないわよ。私ね、前から考えてたんだけど、パーティーに精錬術師が居たら冒険が楽になるな、って。」

「そ、そうですか?」

「そうよ。足りなくなったアイテムを現地調達できるし、使い手が進歩して合わなくなった武器をその場で精錬し直すことも出来る。」

「あぁ、なるほどな。確かにそうかもしれねぇ。」

「ちょ、ちょっと、ジャニスまで何言い出すのよ。」

「イヤ、この人の言ってることはまんざらでもねぇよ。」

「あら、飲み込みが早いわね。坊や。」

「坊やじゃねぇ。ジャニスだ。」

「ジャニスね。解ったわ。私はシェリル。宜しくね。」

「あぁ。」

「じゃ、明日来るわ。その時までに考えておいて。」

「あ、あ、ちょっと・・・」

キィ〜パッタン・・・

「はぁ〜どうしよう。そんなこと急に言われてもなぁ・・・」

確かに良い経験になるんだろうな。すごく行ってみたい・・・けど・・・

「悩むことねぇよ。いいじゃねぇか。一緒に行こうぜ。」

「う〜ん・・・・」

でも、いつも来てくれてるお客さんも出来てきたし、それに・・・

「悩んでても始まらねぇよ。」

「うん・・・・」

レオンさんの剣・・・どうしよう・・・。



「どうするの?セフィ?」

「う〜ん・・・・どうしたらいい?」

「悩んでるのはレオンさんの事だろ?」

「う・・・・・」

どうして解るんだろ・・・・

「顔に出てるよ。レオンって。」

「もぅ、からかわないでよ。」

「レオンさんに聞いてみたら?」

「う・・・ん・・・」


もうそれから仕事は手つかず・・・


工房の扉の陰からのぞく1人と1匹・・・

「なぁ、シフォン。セフィは何をあんなに悩んでるんだ?」

「さあね。本人に聞いてみたら?」

「あの状況で聞けるわけねぇだろうが。」

「セフィのことが心配?」

「いや。俺の身の方が心配だ。あれじゃ人身売買だぜ。奴隷じゃねぇのによ。」

「そうだね。」

「セフィが行くとしたらおまえも行くのか?」

「当然でしょ」

「運命共同体か?いいな。俺もネコになりてぇよ。」

「ジャニスじゃ野良猫止まりだね。」

「うるせぇや。」


「はぁ・・・どうしよう。」

レオンさんの剣を見つめながらため息ばかり

「うん、悩んでても始まらないよ。」



「ちょっと出かけてくる。お店おねがいね。」

「あ、あぁ・・・」


「なぁ、あんなでっけぇ剣もって、どこに行くんだ、セフィは?」

「持ち主に会いに行くんだよ。」

「あ、あのレオンってヤツか。」

「ひがんでるの?」

「んな訳ねぇよ」

「そぉ・・・」

「んだよ、その目は。そんなことねぇって。」


〜セントラルパーク〜

「ふぅ・・・」

レオンさんと初めてあった公園のベンチ。気が付いたらここに来てた。

もう太陽は頭の真上まで来てる。

「・・・でも・・・」

なんて言おうか?

冒険に行くから、この剣はお返しします。って?

レオンさんならなんて言うのかな?

でも、この剣もやってみたいし、冒険にも行ってみたいしなぁ。

「はぁ・・・」



「お嬢さん、ここ、よろしいかな?」

「あ、はい・・・」

なんだろう?麻のマントを羽織ったおじいさん。

杖をついて・・・・

「愛する人の剣、重たかろう。」

「あ、いえ・・・見た目ほどではないです。」

「いやいや、そうではない。心の重さじゃよ。」

「は、はぁ・・・」

「あなたの愛する人は、帰ってくるやもしれぬが、それは誰にもワカラン事じゃ・・・」

・・・・あ!そういえば・・・・

誰かに聞いたことがある。戦に出る兵士は愛する人に自分の剣を預けるって。

愛する人に自分の分身として剣を預ける。無事に帰ってこれるおまじない・・・・

・・・いきなり恥ずかしくなっちゃった・・・

「あなたの心が届くことをお祈りいたしますぞ。」

「・・・・」

「では、これで。お邪魔しましたな。」

「い、いえ・・・」

間違えられちゃったけど・・・ちょっとうれしい・・・かな?


そのベンチの後ろの木陰

「誰待ってるんだ?」

「たぶんレオンさんだと思うよ。」

「ここでいつも会ってるのか。」

「最初に会ったのがここだからね・・・」

「んじゃ、待ってたって会えるかどうかわからねぇじゃねぇか・・・」

「う〜ん・・・あ!」

顔を引っ込める1人と1匹・・・



「あぁ、ここに居たのか。」

「あ、レオンさん!」

うわぁ。急でびっくり!

「今、工房に行ってみたんだ。そうしたら臨時休業になってたから・・・」

「へ?!」

ジャニスとシフォンは???

・・・・・・・


カサカサカサ・・・・

後ろで物音・・・

全くあの2人は・・・・


「す、すみません。実はレオンさんに相談があって・・・」

「なんだい?」

「え、えぇ・・・」

ど、どうしよう・・・・

「私の剣の事かな?」

「はぃ・・・・」

「言いにくいことなんだね。」

「・・・・・・」



「あのぉ・・・私が冒険に行くって言ったらどうします?」

「冒険かぁ。」

女の子が行くモノではない、とか言うのかな?

レオンさんに止めてもらえるならそれで良いし・・・

「良いんじゃないかな。自分の意志で行きたいのであれば。」

「え?えぇ!」

「なんだい?止めるかと思ってたのかい?」

「えぇ・・・だって・・・」

「君が行くって言うのであれば止めはしないさ。ただし、条件が1つ。」

「はい・・・」

「私を連れて行くことだ。」

「!!!!」

そうなんですか?

「はははは!いや、実はね、父上から言われていたんだ。何があっても守ってくれと。」

「え?あ、はぁ・・・・」

どうしてパパったらそうなんだろう?

「それで良いかな?」

「え、えっと。それで…」

「実践で使いながらその剣を精錬してくれればいいさ。その方が私も調整しやすいしね。」

「あ、あぁ… そですねぇ…」

「それじゃ、明日。店に行くよ。」

「はい・・・」

ますます大混乱だね・・・・



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