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第13話:到着と発見と予感と

「さ、そろそろ行きましょう。思ったより時間がかかってしまったわ。」


シェーンさんの一言でみんな一斉に準備を始める。

なんか、すっきりしたような、余計に重荷がかかったような、複雑な気分。


それからはさしたる問題もなく進んでいく。


相変わらず足元はぐちゃぐちゃで日差しもほとんどない。

ただ、だんだん慣れてきたせいか、進む速度も上がってきた。


「フンッ、フーン、フフフフ〜ン、フッフフ〜ン、フフフフフフフ〜ン、っと!」


さっきからジャニスが変な歌を口ずさんでいる。

ジャニスもだんだん慣れてきて余裕が出てきたのかな?


「フ〜ン、フッフフ〜ン、フフフフ〜ン、フッフフ〜ン、っとな!」


自分で変な合いの手を入れながら。


「ジャニス、もっとまともな歌歌えないの?」

「あ?ダメか?」

「決して上手いとは言えないわね。」

「牛守の歌ってしらねぇか?しらねぇよな。」

「どうせ聞かせてくれるなら、上手い方が良いな。」

「レオンまでそう言う事言うのかよ。」

「気分がいいなら良いんじゃないか。」

「あぁ、やっと冒険らしくなってきたからな。」


しばらく歩いていくと、いきなり開けた場所に出た。

周りを木に囲まれてて、低い草に覆われている。

まるで誰かが手入れをしている庭みたい。

さらさらと風が流れて小さな花が揺れている。


「う〜ん、気持ちイイ所だね!」

「すごいな。こんな所にこんな場所があるんだ。」

「チョット休憩しようぜ。さすがにハラ減ったぜ。」

「そうね。」

広場の真ん中まで来た。

ぐるっと見渡してみると全ての方向が森に覆われてる。

太陽の方向でどっちから来たか解るけど、それがなければ完全に方向が解らなくなってしまいそう。


しばらく進むと草の中に埋もれている石があった。

背丈の半分ほどの高さで、その半分は草に覆われている。


「お、良い石があるぜ。ここで休もう。」

「そうだね。」

「さぁ、着いたわ。」

「え・・・?」

「そうよ、目的地に到着。これが妖精岩よ。」

「これ?」

「何か、もっと、こう…」

「大きくってさ。」

「これぞっていう。」


何かチョット気が抜けちゃったって感じ。

みんなも同じ意見みたい。


「小さくって悪かったの!」


え?何か後ろから声がした?

振り向いたけど誰もいない。


「ね、今なんか聞こえた?」

「いや?でも、誰か喋ってたな?」


ジャニスにも聞こえたみたい。

やっぱり不思議そうな顔で周りを探してる。


「そっちじゃないわい。」


「ほぇ?うわぁ!」


チョット上の方から声が聞こえて目線を上げると、虫みたいのが飛んでた。

視点を合わせてよく見ると…


「あ、あ、あなたは…だれ?」

「誰とは失敬じゃな。」


よく見ると白いヒゲを蓄えて、黄色い帽子をかぶったおじいさん。

緑のズボンに赤いチョッキ。先のとがった靴に大きな鼻の頭にちょこんと載った丸い眼鏡。


「あぁ、あなたはドワーフ族の方ですか?」

「まぁ、そうじゃの。妖精、とも言うがの。」

「ちょ、ちょっとまって。妖精?」

「妖精ってなぁ、羽生えて飛んでるんだろ?」

「かわいい女の子で、フワフワっと。」

「でも、でも、ドワーフ?」

「んにゃ。」

「ま、ドワーフ、だわな。」

「やかましいのぉ。ドワーフが飛んだらイカンのか?」

「ドワーフは飛ばないけどヒゲ生やした小人さんで、妖精は羽生えて飛んでるけど女の子で。」

「あ、相の子?」

「あぁ、なるほど。」


私とジャニスとシェーンで妙に納得。


「違うわい!」

「え、違うんですか?」

「妖精が飛ぶのはな・・・」


おじいさんがごそごそと腰の辺りから小さい袋を出してきた。

袋を開けると中からきらきら光る粉をすくってみせる。


「これのおかげじゃ。」

「それは何ですか?」

「見たことねぇな。」

「セフィ、あなたは解る?」

「え?えっと?」


近づいてみる。

金色と白と青。

いろんな色の粉が混ざってきらきらして綺麗。

何だろう?

おじいさんは持っていた粉を体の回りに振りまいた。



「あ、飛んだ・・・」


飛んでるときに、さっきの粉が背中の辺りでキラキラ舞ってる。

あぁ、これが羽に見えるんだね。


「これでこの粉の正体は分かったじゃろう?」

「フェエアリーパウダー。」


シフォンがぼそっと答えながら石の上にすとんっと降りた。


「ほぉ、ファントマを持ってる猫とな。」


おじいさんがまた石の上に降りてきた。


「えへへ、これ、私のお母さんが・・・」

「なんと!ということはゼニア殿の?」

「はい。娘のセフィアです。精錬術師をやってます。」

「そうじゃったか。これはこれは。ということは。いや、待てよ?」


おじいさん、何か考え中みたい。


「あ、あの、もしもし?」


おじいさんの目の前で手を振る。


「お、おぉ、すまん。そうか、そうじゃったか。ということはゼニア殿の一番弟子じゃな?」

「う〜ん、たぶん、そうなると思う。」


おじいさん、私の曖昧な返事に頷いてるよ。


「そうかそうか、弟子を取らんゼニア殿の1番弟子か。それなら安心じゃ。セフィア殿、折り入ってお願いしたいことがあるんじゃが。」

「はい、なんでしょ?」


みんなも身を乗り出してくる。

新しい仕事と冒険の予感。






ここまで読んでいただいた方にまずは感謝。


まだまだセフィ達の冒険は続きますが、訳あってしばらくお休みさせていただきます。

本業の方が忙しくなってきたというのが理由です。


次話投稿予定は桜の咲く頃です。


では、またここでお会いしましょう!


花粉症と腰痛でぐだぐだな巌櫻


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