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第12話:真実

戦いの終わった後、レオンさんがスライムのいた場所から何か拾い上げる。


「スライムの忘れ物だ。」


シェーンさんも自分の倒したスライムの落ちるであろう場所から何か拾い上げる。


「そこそこ良いサイズね。」

「ね、それなに?」


シェーンさんの手の中をのぞく。

水色の透き通った固まり。

クルミの実よりちょっと小さいくらい。

光が当たったところが緑色に見える。


「あ、フェアリーストーンだ。」

「そうね。」

「こっちもそうかな?」


レオンさんが指でつまんでみせる。

レオンさんの方に行ってみる。

さっきと同じ。

水色の固まりがレオンさんの指の間で緑に光る。

こっちはちょっと小さめ。


「ウン、同じ。」

「なぁ、何でスライムからフェアリーストーンが出てくるんだ?」

「私も詳しくは知らないが、以前士官学校で教わったときは、そのモンスターが好んで食べているものが出てくるとか?」

「そうね、あながち間違いではないわ。」

「さすがに私も詳しくは知らない。シェーンの方が詳しそうだな。」


みんなの視線を集めてシェーンさんが話し始める


「元々モンスターはこの世に存在し得ない生物だって知ってる?」

「え、そうなのか?」

「いやぁ、しらねぇなぁ。」

「私も何時の頃からモンスターが現れたかは知らないわ。ただ…」


そこでいったん言葉を切ってシェーンさんがこっちを見る。

私も知っている話。あまり話して欲しくないことだけど、みんなには知っていてもらった方が良いのかも知れない。

私はシェーンさんの目を見てうなずく。


「ただ、モンスターはその昔、精錬術師によって作り出された、と言われているの。」


風の音も聞こえないような沈黙。


「私も色々調べてみたんだけど、残念ながら事実みたい。セフィ、あなたから説明してもらった方が良さそうね。」


私はうなずいてみんなの前に出た。

シフォンが心配そうに足下にいる。


「シェーンさんが言ったようにモンスターを作ったのは私たち精錬術師よ。」


しょうがない。いずれは言わなければならない真実。

シェ−ンさんのように調べる気になれば解る真実。

逆に、レオンさんのように知りたくても知らされない、いや、隠されてしまうであろう真実。


「あ、でも安心して。今はモンスターの精錬は禁止されてるの。」


それは事実である。

治癒用途等の一部の決められた精錬を除いて植物以外の生き物への精錬は禁止はされている。


「それで、どうやってモンスターを作るんだい?」

「さすがに私もあまり詳しくは知らないの。ただ、ベースとなる生物に何かしらのエレメントを精錬させると出来るらしいの。」

「なぁ、セフィ。生物に精錬なんて出来るのか?」


ジャニスが不思議そうな顔で聞いてくる。


「うん、出来るみたい。やったこと無いから解らないけどね。」

「つまり、生きてる物にもエレメントは存在する、と。」


さっきから難しそうな顔をして腕を組んでいたレオンさんが口を開いた。


「そう、生物にもエレメントは存在するわ。エレメントがあるってコトは精錬できるってコト。」


シェーンさんも一緒に説明してくれる。


「たぶん、昔は何と何で何が出来るか、なんてまだ解らなかったんだと思う。だから、色々なことが試されたんだと思う。」


みんなに解りやすいように。そして、誤解を招かないように言葉を選んで。


「だから、いろんな物からエレメントを取り出して、いろんな物と精錬していって、どんな物が出来るかを探っていったんじゃないかな。

そんな内に生物への精錬も試されたんだと思う。決してモンスターを作ろうとしてじゃなくて、実験として、ね。」

「その時生まれたモンスターが未だにはびこってるって事か?」

「うんん、それだけじゃないよ。その頃は役に立つ道具として使うために色々なのが作られたの。

例えばジャニスの実家で牛乳を搾ってる牛もそう。おいしい牛乳をたくさん出して、攻撃性が無くって、寿命の長い牛が出来たわ。」

「そう言うことか、なるほど。野生の牛じゃあんなに大人しくないしな。」

「牛だけじゃなくって、馬も、羊も、犬も。みんなそうやって役に立つように精錬されてきた物だから。」

「なるほど。我々に役に立つように、か。」

「そう、そして、そういう物を試行錯誤で作っていく途中の副産物がモンスターって訳、だと思う。」

「なるほど。つまり、さっきのあいつは何かしらの生物にフェアリーストーンのエレメントを精錬させた物って事だ。」

「そう言うことになるわね。」

「そうやって出来てしまったモンスターのほとんどは精錬術師の手によって抹殺されていったの。

ただ、中には脱走した物や、精錬術師の手に負えず、逆に反撃にあってしまう事もあったって話。」

「ひでぇ話だ。役に立つモン作ろうとして出来てきたモンにやられちまうとはな。」

「そうね。そしてそうやって出てきたモンスターの内ほんのごく少数が環境に順応しながら子孫を増やして生き延びてきたみたい。」

「でもよ、それにしちゃ今居るモンスターの種類は多くねぇか?俺が知ってるだけでも結構居るぜ。」

「そうね、たぶん生きていく内に進化したり、種類の違うもの同士の交配なんかで種類が増えたんだと思う。」

「結構ややこしいんだな。」


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