第一章 終わる日常編 最終話 戦い、そしてそれから
戦闘がクライマックス、あと、最後のところに次章のふせんあり
第一章 終わる日常編
最終話 戦い、そしてそれから
「は。」「はぁぁぁぁぁ!!」戦いが始まってから時間が少し経った。今だに草姫もルフスもどちらとも決定打を与えていない。ちなみに僕はルフスに言われて物陰から見ている。
そこから観察してみるとどちらも実力が同じに見えるが、少しだけルフスが押されていた。すると、草姫のパートナーが僕に向かって「なんだてめぇ。本当に初心者かよ。いつまでも装着者が血盟者に勝てると思うなんてなぁ。笑わせるぜ。」装着者?血盟者?一体なんの・・・もしかしてその違いはあいつがさっきなにか唱えたあれか?そういえばそれからだったなぁ、草姫の武装が変わったのは。でも、そうとわかってもこっちは何て唱えればいいのかが分からない。すると「血盟を言って!」とルフスが言ってきた。でも「何て唱えればいいのかわからないんだ。」と正直に言った。「血盟を結んだときにつけてたあの指輪に触れて見なさい。そうすれば血盟がわかってもう忘れないから!」と言われたので慌てながらも指輪に触った。
ここはどこだ?目の前に湖が、周りには草が広がっていた。すると目の前にこちらに向かって走ってくる少年がいた。どうやら泣いているようだ。その少年が向かった先には1人の泣いている少女がいた。その少女は黒い髪で白いワンピースを着ていた。そこで足を止めた少年が少女に「ねぇ、なんでないているの?」と聞いた。すると少女が「あなただってないているでしょ。」泣きながら答えた。「まぁ、そうなんだけど・・・あ、そうそう僕 織田 龍牙、君は?」あぁ、そうか、これは僕の過去か。確かこの後ルフスが名乗って「・・・紅」え?「私の名前は竹中 紅、お父様とお母様からはルフスって呼ばれてる。だから私のことはルフスでいい。」ルフスって本名じゃないの!?そして、「わかったよ。ルフス、どうしたの?」「お兄様が私には友達なんで必要ない。男ならなおさらだ。なんて言うの。」
あれ、おかしいな。これに似たこと昨日聞いたぞ。
「それに、私が友達を作ろうとすると決まってお兄様がが邪魔するの。友達が欲しいのに。」少女が顔を伏せてまた泣きそうだった。「ふーん。だったらさぁ、僕と友達にならない?」「え?」そう言うと少女が顔を上げた。「というか僕にも友達がいないし、どうせだったら将来僕のお嫁さんにならない?」見境ないな過去の僕!!
すると少女が顔を少し赤くして笑顔で「うん、いいよ。」と答えた。「え、いいの?」「その代わりこのことを忘れないで覚えていてね。これ、約束ね。」「うん、だったらさぁ、どちらかが結婚できる年齢になったら相手のところに会いにいこ!!」「だったら今からこのことを思い出せるおまじないしよ。」「おまじない?」「そ、私の後に続けて言って。それはね・・・。」
これか!
気がつくと指輪に触れていた。どうやら戻ってきたようだ。目の前には戦っている草姫とルフスが、その奥には草姫のパートナーがいた。そして
「月日と共に過ごす火よ、蒼炎のごとく煌めき、我と共にこの世を進む契りを結ベ。」
と今わかったばかりのおまじないを唱えた。すると、ルフスの刀が炎となりルフスの手に燃え移ったかと思うとすぐに消えた。その瞬間ルフスの手に模様が浮かんできて服装もうちの学校の女子制服から黄色のスカートで青のTシャツ、その上にオレンジのコートという格好に変わり、そしてその手にはまるで蒼炎のような蒼い刀を持っていた。
「ば、馬鹿な。なぜ貴様らがもう血盟者になれるんだ!?できないと聞いていたのに。話が違うぞ!」そう草姫のパートナーが言い、少し動揺したように見えた。
その隙を逃さずに蒼炎の刀で草姫に切りにかかった。無論草姫も応戦してきた。が、草姫の鞭が刀と触れ合う前に燃えちぎれた。
鞭はしばらくすると草のように再生してルフスに向かって鞭を振るうが、「無駄無駄無駄ぁ!」と言いながらルフスはその鞭を何度も何度も切り捨てた。
切られては生え、切られては生えの連続を行いながらルフスは草姫との距離をだんだんと近づけていった。あと少しでルフスの間合いに草姫に届く。間合いに入れば勝ちだ。
そう思っていた。
「草姫、とっととトドメをさせ。」その一言が響いた。そして、草姫はその言葉に頷くと「猛々しく唸る虎、伏せたつ草を刈り取らん。猛虎伏草!」そう言うと持っていた鞭で地面を叩いた。するとその場所から草が一頭の虎の形に生え、その虎がルフスに唸りながら走ってきた。ルフスは気がついてはいたが、近づき過ぎたのか反応出来ていない。
「危ない!」
そう思った瞬間勝手に体が動き、ルフスを抱いて虎の攻撃を避けた。後ろを振り返るとそこにさっきまではあった箱が散りになっていた。すると笑い声が聞こえてきた。「は、は、は。どうだ。これなら貴様らにはまだできまい?」そう言ってきた。が、なぜか今の僕たちだったらできる気がした。
「ルフス!」そう呼びかけるとルフスは小さく頷いてから膝を曲げてしゃがみこみ、刀を構えると先程僕が唱えたおまじないの続きを言った。
「電気のように光を運び、石のように火で熱っせられたように恋せよ乙女‼︎電光石火!」
そう唱えるとルフスの刀が蒼い輝きを増した。
それに対応するのか如く草姫が先程の虎をまた放ってきた。が、ルフスが踏み込んで消えたと同時に虎が真っ二つに裂けた。
その一撃は止めることも避けることもままならず草姫を貫いた。
すると草姫の体が消え出した。「いや、こんなところで退場なんて、こんな小娘に負けたなんて、私は絶対に認めない!あなたたちに絶対この恨みを果たす。それまでは負けないように努力なさい!」そう言うと高らかに笑いながら消えていった。
すると草姫のパートナーだった男がいきなり苦し見出してやがて気絶した。かと思うと起きて「あれ、ここどこ?」と言った。どうやら負けるとこの戦いの記憶が消えるらしい。
しかし、これはいまだ新しい戦いのプロローグにすら進んでいなかった。
そんなことに気づいていない今の僕たちはお互いにどちらからとなくそっと抱き締め、お互いに抱き締め合っていることを感じると、本当の再会の挨拶をした。
「おかえり、ルフス。」「ただいま、龍牙。」
でも、今はまだこのような甘い日々を過ごせればいい。
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エピローグ
先程の戦いが終わった後の帰り道、ルフスと一緒に帰っていた。
「ねぇ、ルフス。」「何?忘れん坊の龍牙君?」「いや、それはごめんってば。それよりもルフスって今どこに住んでるの?」そう、あの戦いが終わってからルフスがなんでうちの制服を着ていたのかが気になったので聞いてみたところ、どうやら明日からうちの学校に転校してくるらしいのだ。「んーとね。今までは前のドアを使っていたけど、今日からは龍牙と一緒に暮らしたいんだけと、だめ?」く、ルフスが上目遣いをするといつものギャップで可愛く見える。「べ、別にいいけど。荷物は?」と言ってしまった。まぁ、いいんだけど。「ありがと、後で持ってくるから先に行ってて。」「わかった、待ってる。」そして僕は家へと帰る道を歩いた。
帰ってみるとなぜか部屋が空いていて、すでに靴があった。なんだこれ?ルフスはまだ来ていないはずだし、かといって僕の家に遊びにくるような友達もいないし、いったい誰だ?そう思っていたら何か音が聞こえてきた。よく耳を澄ますとシャワーの音だった。そして、シャワーが止まったと思ったら浴室に人影があった。
いったい誰だ!!
そう思って走って浴室に向かいドアを勢い良く開けた。そしてそこにいた人物に僕は驚いた。なぜならそこにいたのは一糸纏っていない瑛兎だった。瑛兎を見つけたと同時に「キャァァァァ!」という叫び声がした。胸を(下の方は湯気でよく見えない。いや、見る気は無いけど。)隠すというリアクション付きで。
・・・・・パドゥン?
今の叫び声、そしてこのリアクション、なんだか女の子みたいだなぁ。と思っていたら瑛兎の胸が隠すのに不馴れなのか少し見えてしまった。そして驚いた。なぜならその胸は少しとはいえはっきりと女の子だということを強調できるほど膨らんでいたからだ。
まさかの義弟が義妹!?どうする龍牙!!
次回より第二章溶ける鋼と氷編、お楽しみに