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プロローグ
草いきれの匂い、虫の羽音、生ぬるい風。
そして僕を呼ぶ、兄の声。
「碧海」
「兄ちゃん」
丈の高い草に隠れて兄である海人の姿は見えない。
声のする方に向かって、碧海はひたすら草をかき分けて進む。
「碧海」
だが進んでも進んでも海人にはたどり着けない。ただ悲しげな呼び声が聞こえるだけだ。何がそんなに悲しいのか、碧海には分からなかった。いつも、分からなかった。
「兄ちゃん」
伸ばした手が空をつかんだ。けたたましいアラームの音。また、あの夢だ。
草いきれの匂い、虫の羽音、生ぬるい風。
そして僕を呼ぶ、兄の声。
「碧海」
「兄ちゃん」
丈の高い草に隠れて兄である海人の姿は見えない。
声のする方に向かって、碧海はひたすら草をかき分けて進む。
「碧海」
だが進んでも進んでも海人にはたどり着けない。ただ悲しげな呼び声が聞こえるだけだ。何がそんなに悲しいのか、碧海には分からなかった。いつも、分からなかった。
「兄ちゃん」
伸ばした手が空をつかんだ。けたたましいアラームの音。また、あの夢だ。
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