一章
そんなに章は多くならない内に終わらせたい。
世界観ぐらいきちんとしよう。
「おはよう」
「おはよ~。遅いわよー初日なんだからしっかりしなさい」
親にすら違和感を覚えるのは絶え辛いことだった。顔、体系、性格。そのほとんどが同じなのだろう。しかし感じてしまう違い。
「初日って?」
「何言ってんのよ。今日は高校の入学式よ?しっかりしなさいよ、まったく。」
呆れた風に言うパジャマ姿の女性はやはり自分の母そっくりだった。年若く見える童顔。二重。全て自分の中にあるものであり、家族の証拠だ。
しかし年若く見える染めた茶髪は自分とは違った。ここも元の世界と同じ。
「母は入学式から行くけどりょうちゃんはホームルームがあるんでしょ?」
(そうなのか…)
「また今思い出したみたいな顔して…はいプリント。」
呆れ顔の女性から受け取った紙。
読む内容としては大したことはない。8時30からのホームルーム9時30からの入学式。しかし気になる事がある。
「信和学園高校…?」
「いい所入学したわよね~。母は鼻が高いわ!」
うふうふ言ってる女性には悪いが全く記憶にない学校だった。元の自分は中堅公立にだらだら通っていたはずだ。しかもこの家庭の事情で私立に通えるはずが…
「こら!」
「いったっっ」
小さな破裂音と痛みで自分が叩かれた事がわかった。
「…お金の事なら大丈夫よ」
「でも――」
自分の顔や雰囲気から察したのだろ。やはりこの女性も母なのだと思えてくる。
たとえ違和感だらけでもだ。
「あなた一人ぐらい私立だって通わせてあげられるわ。こういう時一人っ子っていいわよねー。ばあちゃん達もお金出してくれたし――」
その後の言葉は聞いていなかった。≪一人っ子≫そう言われたのだ。
手汗、冷や汗。
今の自分はトンでもなく顔色が悪いのだろう目の前の女性も心配そうに見つめてくる。
「――ねえ。大丈夫?本当に調子が――」
聞こえていなかった。
自分の家族が、妹が二人≪世界≫から消えていた。
これは10章以内じゃ終われないか…