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人と妖と。  作者: chocolat
3/9

第三話 名前と紅ちゃん

私達は人と妖の間に生まれた。


私の母は水に潜む"濡女"(ぬれおんな)だ。


地上に上がって休んでいた彼女を父が見初め、周囲の反対と嫉妬(母と父はその頃双方の種族でモテていたと聞く)を押し切り、結ばれた。


よく父が自慢げに話していたので覚えている。




「…おい?(みぎわ)?朝飯いらねぇのか?」

「ふえぇっ!?」




いつの間にか黒髪の男―――十六夜(いざよい)が私の顔を覗き込んでいた。




ご察しの通り、こいつも半人半妖である。ちなみに汀とは私の事だ。


私達は親となった妖の特徴――私だったら水の妖=汀――を名前にもらっている。


もちろん十六夜も。あまり良くは知らないが。





…これは、私の好みの話だが。


欲を言えば、もう少し可愛い名前が良かった…。水面(みなも)とか。





そんな事をぼんやりと考えていたら、不意に頭上に十六夜の手がポスっと置かれ、




「………聞いてる?あ・さ・め・し。」


頭を彼にぎぎぎぎぎぎと握りつぶされそうになる。あだだだだだだ。


「た、たた食べます!食べるから離してえぇぇぇ!」


頭蓋骨が変形するんじゃないかという力で頭を30秒ほど掴まれ続け、じたばたと暴れていると、十六夜が一言。




「ちゃんと食べないと、大きくなれないぞ」




………。




「い~ざ~よ~い~~~~!!!」


怒鳴る私の後ろ襟をつかみ、ひょいと持ち上げた彼は、そのまま私をリビングまで連れて行ってぽいと投げた。


元々体が小さく、加えてかなりの童顔と高い声のせいで、私はしばしば小・中学生に間違われる。これでも、16歳なのに…うぅ。



これでも毎日牛乳飲んだりしているのに…何故。



しかも十六夜は事あるごとにそのことを無表情でからかってくる。こいつ…絶対サディストだ。間違いない…。




しばらくして、ようやく二人で朝食。ハムエッグとチャーハンって組合せとしてどうなのか。


まあ私が作ったんだが。だって今日買い出しに行くんだもの。食糧不足なんだ。



この家には私と十六夜、それともう一人住人がいる。今日は帰ってきてな―――





「たっだいまー!」


――かったけど、今帰ってきた。タイミング良過ぎだろう。




「おかえり、(こう)ちゃん。」




そう声をかけると、紅ちゃん――もとい、紅蓮(こうれん)はにぃっと笑った。



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