そんなことないわ・2
ジャンルがよくわからない…。まちがってたらすみません。
「私なんか、ブスだから相手にされないの…」
「まあそんなことないのに。どうしてそう思うの?」
「目も小さいし、まぶたも一重で厚いし…」
「何を言ってるの。私の目を見て。埋もれて線のようよ。あなたの目は知的で素敵よ」
「そんなことないよ…鼻も上むいてるし…」
「あらやだ。私なんか、上むいてる上にものすごいだんご鼻。あなたみたいなかわいい鼻にあこがれるわー」
「口だって、大きくて下唇だけ厚いし…」
「唇が厚いのって、セクシーじゃない。キスしたら気持ちよさそう」
「それに体だって、太ってるし胸もないし…」
「そんなことないわよ! 私なんか、上から120、120,120よ? 太ってるっていうのは、こういう体のことを言うのよ。そんな素敵な体なのに謙遜しちゃもったいないわ」
ピロリラピロリラ~~ 15分を知らせる音が鳴る。
事務の私が声をかける。
「延長しますか?」
「いえ、ここまででいいです。ありがとう」
さっきよりちょっと元気になったっぽいお客さんが帰っていく。
私はでぶみちゃんの体を点検確認する。
でぶみちゃんはロボットだ。外見コンプレックスを持つ人を癒すために作られたので、とても不細工だ。
でぶみちゃんに「そんなことない」と言われると、「たしかに、でぶみちゃんにくらべれば、マシよね…」という気持ちになるのだ。
ロボットだし、会話はAIだから、感情はないとは思うんだけど、毎日毎日、「私なんて~」と、でぶみちゃんに比べたら恵まれてる人が愚痴を言って、「そんなことないわよ~」とにこにこして答えるのを見ていると、なんだかかわいそうになってしまう。
それに比べると、レイコさんは幸せな気がする。
レイコさんは、でぶみちゃんとは逆で「うぬぼれ改善プログラム用」として作られたので、見た目は絶世の美人だ。そして、上から目線のお客さんを、ガンガンけなすのだ。
「私ってほら、かわいいから、甘やかされちゃってえ~」
「どこが? その程度でかわいいって思うの図々しくない?」
「ちょ! ひどくない? 私、クラスでもかわいいほうだって言われてるし!」
「あらそうなの? ずいぶん顔面偏差値の低いクラスなのね?」
「そんなことないわよ! 読者モデルにスカウトされた子だっているし!」
「入会金払うやつでしょ? そういうのスカウトって言わないわ、詐欺師に会ったっていうのよ」
このように、「自分のことをかわいいと思ってる女子」をぼろくそに言ってくれるので、見てて面白い。
「うぬぼれ改善」だなんて、需要あるのかなあ、と思ったけど、親に連れてこられたり、「口では負けない」と挑戦に来る人がいたりで、それなりに人気がある。
「きいいいいい! あんたに何がわかるのよおおお! ロボットのくせにー!」
あっやばい。またお客さんが興奮してレイコさんを殴ってる。
あわてて止めに入る。
でぶみちゃんは精神的に傷つけられるけど、哀れまれてもいるので優しくしてもらえる。
レイコさんは好きなこと言えて痛快だけど、恨まれたり、今みたいに肉体的に痛めつけられることが多い。
どっちが幸せなんだろうなあ、ロボットに転生するとしたら。
などと、どうでもいいことを考えた、ある日の昼下がりであった。




