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そんなことないわ

そんなことないわ・2

作者: ぺいた
掲載日:2026/06/23

ジャンルがよくわからない…。まちがってたらすみません。

「私なんか、ブスだから相手にされないの…」


「まあそんなことないのに。どうしてそう思うの?」


「目も小さいし、まぶたも一重で厚いし…」


「何を言ってるの。私の目を見て。埋もれて線のようよ。あなたの目は知的で素敵よ」


「そんなことないよ…鼻も上むいてるし…」


「あらやだ。私なんか、上むいてる上にものすごいだんご鼻。あなたみたいなかわいい鼻にあこがれるわー」


「口だって、大きくて下唇だけ厚いし…」


「唇が厚いのって、セクシーじゃない。キスしたら気持ちよさそう」


「それに体だって、太ってるし胸もないし…」


「そんなことないわよ! 私なんか、上から120、120,120よ? 太ってるっていうのは、こういう体のことを言うのよ。そんな素敵な体なのに謙遜しちゃもったいないわ」


ピロリラピロリラ~~ 15分を知らせる音が鳴る。

事務の私が声をかける。


「延長しますか?」


「いえ、ここまででいいです。ありがとう」


さっきよりちょっと元気になったっぽいお客さんが帰っていく。

私はでぶみちゃんの体を点検確認する。


でぶみちゃんはロボットだ。外見コンプレックスを持つ人を癒すために作られたので、とても不細工だ。

でぶみちゃんに「そんなことない」と言われると、「たしかに、でぶみちゃんにくらべれば、マシよね…」という気持ちになるのだ。


ロボットだし、会話はAIだから、感情はないとは思うんだけど、毎日毎日、「私なんて~」と、でぶみちゃんに比べたら恵まれてる人が愚痴を言って、「そんなことないわよ~」とにこにこして答えるのを見ていると、なんだかかわいそうになってしまう。


それに比べると、レイコさんは幸せな気がする。

レイコさんは、でぶみちゃんとは逆で「うぬぼれ改善プログラム用」として作られたので、見た目は絶世の美人だ。そして、上から目線のお客さんを、ガンガンけなすのだ。


「私ってほら、かわいいから、甘やかされちゃってえ~」


「どこが? その程度でかわいいって思うの図々しくない?」


「ちょ! ひどくない? 私、クラスでもかわいいほうだって言われてるし!」


「あらそうなの? ずいぶん顔面偏差値の低いクラスなのね?」


「そんなことないわよ! 読者モデルにスカウトされた子だっているし!」


「入会金払うやつでしょ? そういうのスカウトって言わないわ、詐欺師に会ったっていうのよ」


このように、「自分のことをかわいいと思ってる女子」をぼろくそに言ってくれるので、見てて面白い。

「うぬぼれ改善」だなんて、需要あるのかなあ、と思ったけど、親に連れてこられたり、「口では負けない」と挑戦に来る人がいたりで、それなりに人気がある。


「きいいいいい! あんたに何がわかるのよおおお! ロボットのくせにー!」


あっやばい。またお客さんが興奮してレイコさんを殴ってる。

あわてて止めに入る。


でぶみちゃんは精神的に傷つけられるけど、哀れまれてもいるので優しくしてもらえる。

レイコさんは好きなこと言えて痛快だけど、恨まれたり、今みたいに肉体的に痛めつけられることが多い。


どっちが幸せなんだろうなあ、ロボットに転生するとしたら。


などと、どうでもいいことを考えた、ある日の昼下がりであった。

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