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序章 不遇の子

(投稿時書いてありませんでした申し訳ございません)

主人公 ハインリヒ・フォン・シュヴァルツベルク Heinrich von Schwarzberg

1890年 オーストリア アイゼンシュタット出身

序章 不遇の子

1896年 6歳の時

私の家は貴族で豪華な屋敷を構えていたらしい。

私も六歳までそこで過ごしたが疾う(とう)の昔の事であまり覚えていない。

だがこの出来事だけは少しだけだが覚えている。

ある日突然屋敷の前に大勢の警官が来て、父親を連行して行った。

父親と親しくしていた商人が、反ハプスブルク思想による国家転覆未遂事件を起こしたらしく、その片棒を担いだとして関わりを疑われ、父親も逮捕され貴族権剥奪の危機に陥った。

そこで生活苦や批判から私を守るため、父は元より付き合いがあったシュヴァルツベルク家に私を養子に出した。

この時の母親との別れ際は鮮明に記憶に焼き付いている。

馬車の中から泣く母親が遠くなっていくのをただ眺めることしかできなかった。

そしてシュヴァルツベルク家に着いたが、ここでは「余所者」である私は快くは思われていなかった。

何の後ろ盾も持たぬ元貴族の子の養子など屋敷での立場は召使いと同じであった。

だが屋敷での生活も苦痛ばかりではない。

一つは屋敷の召使いのお婆さんが気にかけてくれて、いろんなことを教えてもらった

この人にはお世話になった、感謝している

残念ながら私が10歳の時に亡くなってしまったが、それでも十分に私の心に血を通わせてくれた母だ。

もう一つは乗馬が好きで、ほぼ毎日召使いの仕事の合間を縫って馬と一緒に走っては現実を忘れる生活を続けていた。

第一次世界大戦、形しかなく活躍すらできなかった騎兵にフォーカスした作品です。

今後も連載していきますのでどうぞご期待ください。

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