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姉の面影



休日の午後、学院の中庭。

秋とレディは芝生に座り込み、買ったばかりのアイスを頬張っていた。


「んーっ、冷たいっ。やっぱり暑い日はこれに限る!」

秋が笑顔でスプーンを口に運ぶと、レディも真似をしてアイスをすくう。


「……甘い。だが、すぐに溶けてしまう」

「そういうものなんだよ。だからこそ美味しいんだよね」


夕日が少しずつ傾き、風が柔らかく吹き抜ける。

そのとき、不意に秋は口にしてしまった。


「……なんかさ、レディといると――」

「?」

「――お姉ちゃんと一緒にいるみたいで、楽しいんだ」


言った瞬間、胸がぎゅっと締めつけられた。

忘れようとしても、ずっと消えない記憶。事故で失った、大好きな姉の笑顔。


「……秋。私は、あなたの姉ではない」

レディの声は静かだった。

けれど、次の言葉はどこか柔らかさを帯びていた。


「だが――もし、それであなたが笑えるのなら。私は、その役目を果たしても構わない」


秋は目を丸くして、それから少し泣き笑いのような顔で答えた。

「……ありがと、レディ。やっぱり君がいてくれてよかった」



その様子を、校舎の窓からひとりの研究員が見つめていた。

手元の端末に打ち込まれたメモにはこう記される。


――対象:一条秋。レディとの親和性、予測を超えて上昇中。

――危険因子としての可能性、増大。


夕焼けの中、姉妹のように寄り添う二人。

だが、その影には確かに監視の気配が忍び寄っていた。



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