黒幕の影
炎と煙が消え、静けさが戻った学園訓練場。
崩れ落ちた自律兵器の残骸から、奇妙な電子音が鳴り響く。
『――リンク完了。データ回収成功』
「……っ!?」秋たちは同時に顔を上げる。
残骸の中心から、黒いホログラムが浮かび上がった。
人型だが顔は覆面で覆われ、赤い光の瞳だけが不気味に輝いている。
『初めまして、英雄候補生の秋。そしてレディ、クロエ……』
その声は機械と人間が重なったような、不気味な響きだった。
レディが一歩前に出て、睨みつける。
「あなた……! この兵器を操っていたのね!」
『操っていた? 違う。我々は“彼ら”を解き放っただけだ。』
秋が眉をひそめる。
「彼ら……?」
『人類が忘れた“未来兵装計画”の遺産。お前たちが身に纏うその力も……元は同じだ』
クロエの瞳がかすかに揺れる。
『未来兵装計画……? それは……』
『クロエ、そしてレディ。お前たちは本来、我らの同胞。人類を導く存在として造られた。だが……愚かな研究者どもが“感情”などという無駄を与えたせいで、道を誤った。』
秋が強く叫ぶ。
「クロエもレディも……道を誤ってなんかない! 私は二人と一緒に歩くって決めた!」
黒い仮面の男は、わずかに嗤った。
『ならば試すといい。絆とやらが、どこまで通じるのかをな。』
次の瞬間、学園全体に警報が鳴り響いた。
複数の地点で同時に出現する、自律兵器の群れ――。
ホログラムは薄れて消える間際、低く告げる。
『次に会う時、お前たちの覚悟を試させてもらおう――』
消失した黒幕の影を見つめ、秋は震える手を握りしめた。
「……必ず……必ず倒してみせる」
レディとクロエも、その決意に黙って頷いた。




