アルティメットフォーム ― 三つの心がひとつになる時
自律兵器は未だ立ち上がり、鋼の咆哮を上げていた。
アキロイド2でも決定打にならない――その事実に秋の心は揺らぐ。
「まだ……足りないの……?」
『秋、気を強く持って!』クロエの声が響く。
だが次の瞬間、レディが鋭く叫んだ。
「そうじゃない! まだ“私”がいる!」
秋とクロエが同時に彼女を見る。
「レディ……!」
「私を拒まないで。私も、あなたたちと――一緒に!」
レディの装甲から放たれた赤い光が、アキロイド2を包み込む。
クロエの蒼光と、秋の意志の輝きが交わり、三つの力が共鳴を始めた。
『リンクプロトコル――三重共鳴開始』
秋の心臓が高鳴り、視界が純白に塗り潰される。
次の瞬間、彼女たちの姿はまったく新しい形へと昇華していた。
全身を覆う銀白の装甲。
胸部にはクロエのコアが輝き、両肩にはレディ由来の赤黒いブレードユニット。
背中には蒼白と紅蓮が絡み合う六枚の光翼。
その瞳は三色――蒼、紅、そして秋本来の金色が一つの輝きに融け合っていた。
「――これが……私たちの答え」
三人の声が重なり合い、世界を震わせる。
自律兵器が無数の砲撃を放つ。
だがアルティメットフォームは、まるで風そのもののように舞い、光翼で全弾を弾き返す。
「今だ、秋!」
『同調率120%――出力解放!』
両腕に展開された双剣が紅と蒼に燃え、敵を一閃。
轟音と共に鋼の巨体が真っ二つに裂け、爆炎が訓練場を包み込んだ。
爆風の中に立つ、アルティメットフォームの姿。
生徒たちは息を呑み、ただ見惚れていた。
「秋……レディ……クロエ……」
片瀬は胸に手を当て、声を震わせる。
「これが……未来を切り拓く力……!」
三人の意識が静かにひとつに融け合い、やがてアルティメットフォームは光の粒となって分離した。
荒い息を吐きながら、秋は膝をつく。
「はぁ……はぁ……でも……やり遂げた……!」
レディとクロエが両側に現れ、同時に秋を支えた。
『私たちで……守れましたね』クロエが微笑む。
「当然よ」レディが照れ隠しのようにそっぽを向く。
秋は二人の手をぎゅっと握り、笑った。
「これが……私たちの最高の形だよ」
――そして、この力がまた新たな運命を呼び寄せていくことを、まだ誰も知らなかった。




