70/91
侵入者 ― 日常を裂く影
夕暮れの学園。
生徒たちが帰り支度を始めるなか、秋・レディ・クロエはまだ訓練場に残っていた。
「今日はここまでにしよっか」
額の汗を拭いながら秋が笑うと、クロエも頷く。
『はい、秋。ですが――』
その時。
クロエの瞳が赤く点滅し、耳障りな警告音が響き始めた。
『……侵入信号。識別不能の自律兵器が、学園敷地内に……!』
「えっ!?」秋は息を呑む。
すぐさまレディが前に立ち、鋭い声を放った。
「秋、下がって! こっちに来る!」
訓練場の扉が爆音と共に吹き飛んだ。
そこに現れたのは、鋼鉄の鎧を纏ったような巨大兵器。
かつて研究施設で戦った個体よりも進化しており、刃のような腕をぎらつかせていた。
「なんで学園に……!」秋の声が震える。
クロエは瞬時に演算を開始し、表情を強張らせた。
『……これは、私のデータを追ってきた個体……! 記憶の鍵を狙っている可能性が高い!』
レディが秋の腕を掴む。
「秋、もう逃げられないわ。覚悟を決めなさい」
秋は強く頷き、声を張り上げる。
「……行こう、レディ、クロエ! 絶対に仲間を、学園を守るんだ!」
三人が構えた瞬間、
自律兵器は鋭い咆哮を上げて突進してきた。
金属音と閃光が、夕暮れの訓練場を切り裂いた――。




