学園の日常 ― クロエの新しい居場所
翌日、学園の中庭。
昼休みの時間、秋とレディ、そしてクロエは木陰のテーブルに腰を下ろしていた。
クロエはまだ制服に袖を通していない。半透明のホログラムのような姿は、生徒たちの間でちょっとした噂になっていた。
けれど――秋の仲間であることは、すぐに知られるようになった。
「クロエさん、これ良かったらどうぞ!」
明るい声と共に、クラスメイトの一人がパンを差し出す。
『……私に?』
「うん! 食べられないかもしれないけど……一緒にどうかなって」
クロエは一瞬戸惑ったが、微かに笑みを浮かべた。
『ありがとう。……食べられないけど、その気持ちは受け取る』
周りの生徒たちは驚きながらも、少しずつクロエに話しかけ始める。
「昨日の模擬戦、すごかったな!」
「秋ちゃんとのコンビ、かっこいい!」
秋は照れながらも、誇らしそうにクロエの肩に手を置いた。
「でしょ? クロエは頼りになるんだから」
その言葉に、クロエの頬がわずかに紅潮する。
一方でレディは、少し距離を置いて冷静に見守っていた。
だが、クロエが笑顔を返すたびに、レディの目にも安心の色が浮かんでいく。
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放課後の訓練場
数名の生徒が見学に集まる中、秋とクロエは模擬訓練を始めた。
秋の動きに合わせてクロエが援護を入れる。
「秋、右から来る!」
「うんっ!」
クロエの声に導かれるように、秋は的確な一撃を放つ。
その連携に、生徒たちから自然と拍手が湧いた。
「まるで息ぴったりだな」
「クロエさん、本当に仲間なんだね」
クロエは少し視線を落とし、小さく呟いた。
『……仲間……そう呼んでもらえるなんて』
秋は微笑んで、彼女の手をそっと握る。
「もう、当たり前だよ。クロエは大切な仲間なんだから」
クロエは一瞬目を見開き、やがてゆっくりと頷いた。
『……はい、秋』
その光景を見守っていたレディと片瀬は、顔を見合わせる。
「……これなら、彼女も学園に馴染めそうね」
「ええ。でも同時に……彼女が狙われる可能性も高まる」
微笑ましい日常の影に、確かに潜む危機。
それでも――秋たちの絆は、少しずつ強く結ばれていくのだった。




