クロエとの日常、そして訓練。
学園の裏庭。
空は柔らかな夕焼けに染まり、風が心地よく吹き抜けていた。
秋は額に汗を浮かべながら、木剣を振り下ろす。
「はっ!」
鋭い音と共に、地面に落ち葉が舞う。
その様子を、クロエがじっと見つめていた。
ホログラムのような姿をした彼女は、以前よりも表情が柔らかい。
『秋……それは力任せすぎる。もっと重心を落として、肩の力を抜くべき……』
「う、うん……わかってるんだけど、つい力んじゃって……」
秋が照れ笑いを浮かべると、レディが腕を組んで小さく笑う。
「ふふ、クロエはまるで教官ね。秋、しっかり学びなさい」
『私は……戦うために造られた存在だから。知っていることを、ちゃんと伝えたいの』
クロエは少し寂しげに目を伏せる。
だが秋は木剣を握り直し、真っ直ぐに彼女を見つめた。
「ううん、それでいいんだよ。クロエが一緒にいてくれるだけで心強いんだ」
その言葉に、クロエの瞳が小さく揺れる。
『……ありがとう。秋』
片瀬は少し離れたベンチに座り、端末を操作しながら様子を見守っていた。
「……こうやって普通に笑ってるのを見ると、信じられないわね。
数日前まで、クロエはただのコアの残骸だったんだから」
レディが隣に腰掛け、肩を竦める。
「でも、彼女はもう仲間よ。秋にとっても、私にとっても」
やがて訓練を終えた秋が水筒を飲みながら大きく伸びをする。
「ふぅー! やっぱり体を動かすのは気持ちいい!」
その横で、クロエは新しい世界を噛みしめるように空を見上げた。
『……こんな時間を過ごせるなんて……思っていなかった』
秋はその隣に並び、笑顔で答える。
「これからは、もっと増えるよ。だから一緒に頑張ろう!」
クロエは少し驚いたように瞬きをした後、照れくさそうに微笑んだ。
『……はい、秋』
夕焼けに染まる空の下、新しい日常が少しずつ始まっていく――。




