記憶の鍵…。
施設跡からの帰還。
秋とレディは学園の裏口から忍び戻り、夜更けの研究棟へと足を運んだ。
待っていたのは協力者・片瀬。
机の上に置かれた“記録の鍵”は、青白い光をゆっくりと放ち続けていた。
片瀬は食い入るように観察し、そして小さく息を漏らした。
「……これ、本当に……。未来からの“保存データ媒体”ね」
秋が身を乗り出す。
「解析できますか!?」
片瀬は頷いた。
「すぐに、とは言えない。仕組みは今の技術より数段階先……。
でも、断片的に読み解けるはず」
彼女は専用の端末を接続し、ゆっくりとコードを走らせていく。
その間、秋とレディは息を殺して待った。
やがて、ホログラムが淡く映し出される。
そこに現れたのは――荒廃した都市の光景だった。
瓦礫に埋もれ、空が黒煙で覆われた未来の街。
「これが……未来……?」
秋の唇が震える。
映像はさらに切り替わり、ひとりの人物が映し出された。
漆黒のコートを纏い、冷たい瞳で街を見下ろす――久遠。
片瀬の声が震える。
「これは……未来の破壊者の記録……」
秋は拳を握りしめる。
「やっぱり……久遠は……未来の私……」
レディが秋の肩に手を置き、静かに言った。
「秋。あなたは今のあなた。未来は、まだ決まっていない。
私たちが選べば……未来は変えられる」
秋の瞳に決意の光が戻る。
「……うん。変える。必ず……!」
だがその時。
解析装置が異常を示し、画面が赤く点滅した。
『――観測者確認。監視プログラム起動――』
片瀬が青ざめる。
「誰かが……この解析を監視してる!? 学園の上層部……いえ、それ以上かも……!」
秋とレディは互いに目を合わせた。
“記録の鍵”をめぐる戦いは、すでに学園の枠を越えて広がっている――。




