研究施設跡の番人…。
施設の奥へ進むと、金属の擦れる音が重く響き渡った。
瓦礫の山から立ち上がったのは、異形の巨躯――全身を黒い装甲に覆った自律兵器だった。
かつての警護機構が、今なお「侵入者」を排除するために稼働しているのだ。
「……やば……!?」
秋は思わず後ずさる。
巨兵の片腕が変形し、銃口が光を帯びた。
ドゴォン!
轟音と共に、床が抉れ、壁が粉砕される。
「秋、下がって!」
レディが瞬時に飛び出し、銀髪をなびかせながら拳を振り抜いた。
金属の腕と衝突し、火花が散る。
だが、相手の装甲は異常に硬い。
拳が弾かれ、レディの身体が後方に弾き飛ばされる。
「レディ!」
秋が駆け寄ろうとするが、巨兵がその前に立ち塞がる。
逃げ場はない。
――その瞬間。
秋の耳に声が響いた。
『……“記録の鍵”は、番人の内部に……』
クロエの声。
目の前の巨兵の胸部に、淡い光の刻印が浮かび上がる。
そこに、“鍵”が眠っている。
「レディ! あいつの胸だ! そこに“鍵”がある!」
レディの赤い瞳が輝き、秋の叫びに呼応するように全身が眩く発光する。
「了解――秋、力を貸して!」
秋の胸の奥から熱が走り、銀の光が身体を包み込む。
レディの姿が重なり、融合する。
――アキロイド、覚醒。
巨兵の砲撃を正面から受け止め、その光をねじ伏せる。
「これが……私たちの力……!」
渾身の拳が、巨兵の胸部を撃ち抜いた。
装甲が砕け、内部に埋め込まれていた輝く結晶――
**“記録の鍵”**が姿を現す。
秋はそれを掴み取った。
刹那、頭の中に膨大な断片的映像が流れ込む。
未来の崩壊した都市、そして“久遠”の姿。
「やっぱり……! 未来と繋がってる……!」
巨兵は崩れ落ち、施設に再び静寂が訪れる。
秋とレディは肩で息をしながら、輝く鍵を握りしめた。
「……これで、未来を変える道が……開かれる」
秋の目に、確かな決意が宿っていた。




