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鍵…。
薄暗い部屋に残された静寂。
秋とレディはクロエのコアを見つめ続けていた。
やがて、淡い光がふたたび脈打ち、まるで心臓の鼓動のように波打つ。
『……鍵……』
かすれた声。だが、はっきりとした言葉。
秋は驚きに目を見開く。
「今……“鍵”って……」
『……私の記憶は……封じられている……
解放するには……“記録の鍵”が……必要……』
その言葉と同時に、秋の脳裏に奇妙な映像が流れ込んだ。
古びた石の祭壇。
そこに差し込まれる一本のデータキーのような光の剣。
レディは秋の様子に気づき、肩を支えた。
「秋、見えたのね……クロエが示した“場所”。」
秋は震える唇で応えた。
「……うん。どこかの……遺跡みたいな……。
あそこに、“鍵”が眠ってる……」
クロエのコアは再び沈黙したが、その表面には微かに刻印が浮かび上がっていた。
それは古代文字にも見え、最新の暗号にも見える、不思議なパターン。
レディは目を細めて言った。
「これ、研究所のデータベースにもなかった……完全に未知のコードだわ。
でも、きっと片瀬さんなら……解析できる」
秋は小さく頷いた。
「クロエは、未来からの警告と導きを残してくれてる……。
もし“記録の鍵”を見つけられれば……未来を変えられるのかもしれない」
二人は改めて視線を交わした。
不安と希望、その両方を胸に抱きながら――。




