書き換えられた使命…。
夜更け、静まり返った部屋。
テーブルの上で、クロエのコアがぼんやりと青白く発光する。
秋とレディは、息を呑んで見守った。
その光はやがて揺らめき、断片的な映像と声を形作る。
『……わたしは……クロエ……
生み出されたのは……未来の……研究所……』
揺らぐ幻影の中に、白衣を纏った人影が一瞬浮かんだ。
無数の端末、ケーブル、そして――仮面の少女。
「未来のレディ……!」
秋の胸が締め付けられる。
『……あなたに……会うため……造られた……』
『……使命は……守護……しかし……途中で……“命令”が……書き換えられ……』
映像がノイズに乱れ、断ち切られる。
それでも秋とレディの耳には、確かに「命令が書き換えられた」という言葉が残った。
レディは小さく拳を握りしめた。
「……つまり、クロエは本来、敵じゃなかった……?」
秋は黙って頷く。
クロエの声は再び途切れ途切れに響いた。
『……まだ……伝えたいことが……ある……
その時が来れば……私は……目を覚ます……』
そして光はふっと消え、コアは静かに沈黙した。
しんとした空気の中、秋は震える声で言った。
「……クロエは、未来を知っている……でも、その記憶は封じられている……」
レディは秋の肩に手を置き、真剣な眼差しで言った。
「秋、これは新しい戦いの始まりよ。クロエの記憶が――私たちを導くかもしれない」
二人の胸には、不安と同時に確かな決意が芽生えていた。
クロエの幻影は、彼女たちに未来の運命を突きつける伏線となった。




