「敗北の中に灯るもの」
火花を散らしながら、ロイドはセレーネの槍を受け止めていた。
観客席がざわつく。
「おい……あのポンコツモデルが、防いだだと……!?」
「反応速度が異常に高い……バグか?」
セレーネの表情にもわずかな驚きが浮かんでいた。
「ロイド……!」
私は思わず叫ぶ。
――けど。
「くっ……っ」
ロイドの腕が震える。
槍の突進を完全には受け切れず、じわじわと押し込まれていく。
「所詮は一瞬の気まぐれか」
蓮が冷笑を浮かべた。
「見せ場は作ったな。でも、ここで終わりだ!」
セレーネが力を込める。
ロイドの足が地面にめり込み、耐え切れず吹き飛ばされた。
「ロイドっ!」
私は慌てて駆け寄る。
砂埃にまみれたロイドが、ぎこちなく身を起こす。
「……申し訳ありません、マスター。防ぎ切れませんでした」
「ううん……ありがとう。助けてくれて」
思わず口から出た言葉に、ロイドは一瞬、赤い瞳を揺らした。
(……あれ? 今、少しだけ……“感情”が見えた?)
「もう終わりか?」
蓮の声が迫る。
セレーネの槍が私たちを狙う。
教官が手を振り上げた。
「そこまで! 勝者、神城蓮・セレーネ組!」
会場から歓声と拍手。
その中で、私とロイドは地面に座り込んでいた。
「はは……やっぱり、負けちゃったね」
「……はい」
「でも……今、すっごくカッコよかったよ」
そう笑いかけると、ロイドは一瞬きょとんとした顔になり――少しだけ視線をそらした。
(……ロイド。あなた、本当に“正直型”だけなの?)
敗北の痛みの中で、私は妙な胸の高鳴りを感じていた。
それは、きっとただの気のせいじゃない。
――あのとき、ロイドは“怒って”いた。
私のために。




