『夜明けの因子』
◆研究棟・片瀬の部屋
戦闘後すぐに、秋は片瀬に呼び出された。
小さな部屋のドアを閉じると、片瀬は迷いのない表情で切り出した。
「秋さん……あなた、あの仮面の人物を見たわね?」
秋は息を呑む。
「……はい。あれは、いったい……」
片瀬は机にデータパッドを置き、映像を映し出す。
そこには暗い部屋で仮面の人物たちが語り合う姿。
声は歪んでいたが、確かに“夜明け”という言葉が聞き取れた。
「彼らは《夜明け》。この世界の均衡を壊し、新しい秩序を作ろうとしている組織よ。
そして——あなたのパートナー、レディはその計画にとって“特別な鍵”」
秋の瞳が揺れる。
「レディを……奪おうとしてるってこと……?」
「ええ。だからこそ、私はあなたの味方になる。彼女を守れるのは、あなたしかいないから」
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◆医療棟・ライバルペア
数日後。
あの戦闘で倒れたライバルペアは医療棟に隔離されていた。
秋は心配で、レディと一緒に面会に向かう。
ベッドに横たわる二人は、意識はあるが苦しげに呻いていた。
その腕には、あの紋章の痕跡がまだ微かに残っている。
「……秋……お前……本当に……操られてないのか……?」
「違うよ! 私は、自分の意思でレディと一緒に戦ってる!」
ライバルの2人は震える声で呟いた。
「私たち……気づいたら戦ってて……体が勝手に……」
レディが静かに言う。
「解析結果。彼らは《夜明け》の因子に侵食されている。自我は保っていたが、外部操作を受けていた」
秋は唇を噛んだ。
敵だったはずのライバル。
けれど、彼らもまた被害者だった。
「……絶対に助けるから。だから、待ってて」
秋の決意に、レディは短く「了解」と応じた。




