第3話「ライバルペアとの模擬戦!」
「次の授業は模擬戦だ」
教官の言葉に、教室がざわめいた。
模擬戦――候補生とバディがペアになり、実戦形式で戦う訓練。
クラスの注目イベントでもある。
「へえ……ワーストコンビと当たるのか」
ニヤリと笑ったのは、成績トップの男子候補生・神城 蓮。
黒髪をオールバックにした自信家で、誰もが憧れるエースだ。
彼の隣には、銀の槍を持つ女型アンドロイド・セレーネ。
しなやかな体躯に鋭い眼差し――「完璧」という言葉が似合う存在だった。
「おい秋、悪いことは言わねえ。棄権しろ。お前らに勝ち目なんてない」
「そ、そんなこと言われても……!」
「正直に申し上げます。確率的に、我々の勝利は0.03%です」
「ロイド!? 今それ言わないで!」
会場の空気が一気に笑いに変わる。
「ワーストコンビvsトップペア、開始!」
合図と同時に、蓮とセレーネが動いた。
セレーネが鋭く踏み込み、槍が空を裂く。
私は必死に横に飛んで――転んだ。
「きゃあっ!」
「おいおい、もう終わりか?」
蓮が余裕の笑みで迫る。
地面に手をつきながら、私は必死に立ち上がろうとする。
「マスター、危険です! 退避を!」
「……やだ!」
「え?」
「ここで逃げたら、ずっと笑われっぱなしだもん!」
胸の奥が熱くなる。
でも体は動かない。
そんなとき――
「……了解しました。マスターの意志に従います」
ロイドの瞳が一瞬だけ赤く光った。
「な、なんだ……?」
蓮が思わず身構える。
次の瞬間。
ロイドが私の前に飛び出し、槍を素手で受け止めた。
金属が火花を散らす。
「なっ……!? 正直型のT9が、こんな反応を――!」
セレーネの目が驚きに揺れる。
ロイドは槍を押し返し、静かに言った。
「……マスターを、侮辱するな」
会場にざわめきが広がる。
私は呆然としながらも、心臓が高鳴るのを感じた。
――あれ?
ロイド、今……怒ってる?




