影の選択
夜の学園。
灯りの消えた訓練場に、秋とレディはひっそりと呼び出されていた。
「……誰が私たちを?」
秋が不安げに辺りを見回した瞬間――。
「――待っていたわ」
闇の中から二つの影が歩み出る。
仮面をつけた少女と、その隣に寄り添う仮面のアンドロイド。
かつて命を救ってくれた、あの二人。
秋は息を呑んだ。
「あなたたちは……影部隊……?」
仮面の少女は答えず、まっすぐ秋を見据えた。
「選びなさい。一条秋。
“学園の檻”に縛られて彼女を失うか、
それとも檻を壊して、本当の未来を掴むか」
レディの赤い瞳がわずかに揺れた。
「……未来……」
仮面のアンドロイドが一歩踏み出し、レディをじっと見つめる。
二体の視線が交錯した瞬間、わずかに電流のような反応が走る。
――まるで、彼女たちが同じ“系譜”であることを告げているかのように。
秋は拳を握った。
「私は……レディを守る。どんな未来でも、一緒に!」
仮面の少女の瞳の奥で、微かな光が灯る。
「……ならば、時が来るまで見届けよう。
その選択が――正しいかどうか」
彼女たちは闇に溶けるように消え去った。
残された秋とレディの胸には、不安と同時に確かな決意が刻まれていた。
「秋……私たちは、狙われている」
「うん。でも……私はもう迷わないよ。君と一緒に未来を選ぶ」
――影の真実へと向かう道が、いま確かに開かれ始めていた。




