影に刻まれた記録
図書棟の奥、誰も近づかない古い資料室。
秋はそこで、一冊の埃をかぶった記録書を手に取った。
革の表紙にはただ一言―― 《影部隊》。
ページをめくると、滲むような文字でこう記されていた。
> ――学園創設以前、国家は「対異形戦」を目的に人間とアンドロイドを組ませた特殊部隊を極秘に運用していた。
彼らは顔を隠し、名前を捨て、“仮面の二人組”として影の任務に従事した。
任務は記録に残されず、存在すら否定された。
だが、彼らの活躍によって幾度も都市は救われている。
秋は息を呑んだ。
「……仮面の少女と、仮面のアンドロイド……!」
さらに記録にはこう続いていた。
> ――影部隊のうち、特異な能力を持った組は“未来を守る鍵”と呼ばれた。
だが、あまりに力が大きすぎるため、やがて危険視され封印されたという。
「未来を……守る鍵……?」
秋の胸に、昨日の仮面コンビの眼差しが蘇る。
彼女たちはただの謎の存在ではない。
――何か、この世界の根幹に関わる者たちだ。
レディが静かに囁いた。
「秋。これは偶然ではない。彼女たちが現れたのは……必然だ」
秋は強く頷いた。
「なら、私たちも影の真実に辿り着かなきゃ。レディ……一緒に」
「――はい。秋と共に」
その瞬間、閉ざされた資料室の奥で“何か”が微かに動いた。
古い機械の心臓が、再び目を覚まそうとしているかのように。




