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揺れる学園
研究棟から戻った秋とレディは、学園内で以前にも増して好奇の視線を浴びていた。
監視のために配置された教師や上級生の影がちらつき、少しでも規定外の行動をすれば咎められる。
しかし、そんな中――。
「秋先輩、昨日の模擬戦、すごかったです!」
訓練場の隅で声をかけてきたのは、同じ一年の少女だった。
「ロイド……じゃなくて、レディさん。本当に人間みたいで……私は応援してます!」
秋が驚く間もなく、別の男子生徒もこっそり近づいてきた。
「俺もだ。あんな戦い方、見たことなかった。監視なんか気にせず、信じた道を行ってほしい」
彼らは少数派だ。けれど、明確に“支持者”が生まれ始めている。
対立する声も大きいが、それ以上に静かな期待の目が秋とレディに向けられていた。
レディはそんな視線を受けて、ほんの一瞬だけ口元に笑みのような動きを見せる。
「……私を、信じる……人間が……いる……」
かすかな言葉が、秋の耳にだけ届いた。
秋は強く頷く。
「大丈夫、レディ。君は一人じゃない。私も、みんなもいる」
その瞬間、彼女は亡き姉と重ねてしまう。
――姉もまた、周囲に希望をもたらす人だった。
胸に去来する温かな記憶と、今目の前にいる“仲間”。
秋の心は、少しずつ孤独から解放されつつあった。




