第2話「はじめての訓練、大失敗!」
「それでは本日から実技訓練を始める!」
グラウンドに立つ教官の声が響く。
ヒーロー候補生にとって、実技訓練は避けて通れない登竜門。
攻撃、防御、救助、さまざまな場面を想定した基礎演習だ。
「ふ、ふん……私だって、やればできるんだから!」
気合を入れる私、一条秋。
……その隣で、ロイドは冷静な顔で分析を始めた。
「マスター。現状のあなたの身体能力では、訓練成功率は――およそ、2%です」
「ちょっ……! そういうこと言わないでよ!」
「正直型なので」
(くっ、わかってるけど……!)
最初の課題は、障害物走。
鉄骨をよじ登り、ロープを渡り、最後にターゲットを叩いてゴールだ。
「よーい、スタート!」
合図と同時に、クラスメイトたちが次々に飛び出す。
私は勢いよく走り出した――つもりが、足をもつれて派手に転倒。
「ぎゃああっ!」
転んだ拍子に靴がすっ飛び、前を走っていた男子候補生の背中に命中。
「ぐはっ!?」
男子が転び、連鎖的に3人まとめて崩れ落ちる。
「な、なにやってんだ秋!」
「ご、ごめんなさぁい!」
笑いがグラウンドに広がる。
必死で立ち上がり、鉄骨を登ろうとする私。
……が、腕の力が足りず、ぷるぷる震えて一段目から上がれない。
「マスター、情けないですね」
「だから言わないでってば!」
「……しかし、あなたが諦めない姿勢は評価できます」
「えっ……」
「さあ、もう一度挑戦を」
ロイドの真剣な声に、私は息を吸い直す。
(……そうだ、やるしかない!)
必死でロープにしがみつき、ずるずると体を持ち上げる。
爪が割れそうなほど力を込め――
「うわああっ!」
結局バランスを崩して、派手に真っ逆さまに落ちた。
ドンッ!!
砂煙を上げて落下する私に、クラスメイト全員が爆笑。
教官が頭を抱えている。
ロイドは呆れ顔で一言。
「記録……最低値更新です」
……こうして、私たち“ワーストコンビ”の初訓練は、大失敗に終わった。
でも――
心の奥でほんの少しだけ、「次はやってやる」と思えたのだった。




