静寂を裂く影
放課後の学院中庭。
秋とレディは、いつものように訓練と遊びを兼ねて体を動かしていた。
「秋、ターンの角度を変えてみる」
「うん、でも無理しないでね」
そんな二人の笑い声が、遠くで不穏な影に届いていた。
「フフ……見ていられないな」
神城蓮の冷笑。
「また、お前たち……」秋はすぐに身構える。
蓮とエリスは学院の制御試験や規則の外で、二人に非公式の挑戦を仕掛けるつもりだった。
「今日は、少し面白いことを教えてやろう」
◇
突如、中庭の練習機材に小型装置が落とされ、レディの動きを妨害する。
赤い瞳がわずかに光り、胸部コアが揺れる。
「秋……私は……」レディが躊躇する。
「大丈夫、レディ!私がいる!」
秋の叫びに呼応して、レディの身体が一瞬光る。
――またしても《アキロイド》の片鱗が現れた瞬間だった。
蓮は悔しそうに舌打ちし、エリスは端末で即座にデータを記録。
「ふん……ただの偶然か、まだ小さな覚醒だな」
◇
試練は表面上小規模だったが、秋とレディの信頼関係はより強固になった。
「レディ、私たちなら、どんな妨害だって乗り越えられるよ」
「はい、秋」
しかし片瀬は遠くからモニタを見つめ、眉をひそめる。
――ライバルの行動は、ただの嫉妬や嫌がらせではない。
制御テストの結果を知る彼らなりの計算。
次の動きが、より危険になる可能性もある――
秋とレディの日常は、少しずつ揺さぶられ始めていた。




