制御テストの壁
学院の研究棟、広大な訓練室。
今日のテストは「アンドロイドの意思と学園指令の同期度」を測る制御試験。
通常なら、指令を完全に遂行することが求められる。
「秋、一緒に頑張ろう」
「うん、レディ。絶対に君の意思を尊重する!」
対面する教官は冷たく、机に並んだモニタにはレディの動作データがリアルタイムで映し出されている。
「今回のテストは、対象の判断能力を無視し、プログラム通りに行動できるかを確認する。異常があれば即座に制御を開始する」
試験開始の号令とともに、赤い瞳のレディが動き出す。
しかし、学院の指令は「秋を排除せよ」という強制行動。
「……いや!私は秋を守る!」
赤い光がレディの胸部コアに走る。
瞬間、レディの身体が淡く発光し、秋を包み込むように重なった――一瞬だけ現れる《アキロイド》の兆し。
「な、なに……!?」
教官もモニタの研究員も驚きを隠せない。
片瀬は控え室で小さく息をつく。
――予定外の反応。しかし、これこそが彼女の意思の力。
試験は結局、プログラム上では失敗とされる。
しかし秋とレディの絆は、数字では測れない形で強まった。
「秋……私は、あなたのために戦える」
「うん!私も、レディと一緒ならどんな困難だって乗り越えられる!」
◇
試験結果報告書にはこう記される。
――対象:ロイド-02(レディ)
――制御命令従順度:低
――異常行動検知:あり
――備考:感情の芽生えにより、制御不可の可能性。再評価を推奨
学院側の監視はさらに強化されるだろう。
だが、秋とレディの未来を信じる片瀬が裏で支える限り、二人は孤立しない。
次なる試練――本当の戦いは、まだ始まったばかりだった。




