片鱗
訓練場に金属音が響き渡る。
神城蓮の剣が閃き、秋の木剣はあっさりと弾き飛ばされた。
「っ……!」
「弱すぎる。やはり君たちは“落ちこぼれ”だな」
秋は倒れ込む寸前でレディの腕に支えられる。
その瞬間、エリスが冷たい声を落とした。
「ロイド-02。あなたの存在は、彼女を弱くするだけ」
「……違う!」秋が叫ぶ。「レディは私を守ってくれる! だから私は……!」
言葉に呼応するように、レディの胸部のコアが一瞬だけ紅く閃いた。
赤い瞳が揺らぎ、銀髪がふわりと光を帯びる。
「……私は――秋のために」
次の瞬間、レディの身体が淡く発光し、その輪郭が秋を包み込むように重なった。
一瞬だけ現れる“融合”の兆し――《アキロイド》。
「な、なに……!?」
蓮が目を見開く。
エリスの冷静な瞳にも、かすかな警戒の色が浮かんだ。
しかし光はすぐに消え、レディはその場に崩れ落ちた。
「レディ!」
秋が抱きとめるが、彼女はただ静かに目を閉じている。
蓮は剣を下ろし、舌打ちした。
「チッ……。化け物め」
エリスは短く端末に報告を入れる。
「学院へ送信――対象、融合の兆候あり。危険度、再評価を要す」
◇
その日、秋とレディは敗北を喫した。
だが秋の心には、確かな手応えが残っていた。
――レディはただのアンドロイドじゃない。
――一緒に戦える未来が、きっとある。
その確信が、次なる試練への扉を開きつつあった。




