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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

彼女……アイスる…ル?

作者: 企画開発部

※精神が安定してない方は読むのを控えてください。


 俺には、学生時代からの幼馴染がいる。

ある日、隣に越してきて親同士が仲良くしていたから、俺達も仲良くせざるを得なかっただけなのかもしれないが、それは高校を卒業してからも続いていた。

 その気分屋な女が好きな推しとやらは、同じ年齢でアイドルをしていて、世間的にも人気の男子らしい。テレビに引っ張りだこで俺も知らないわけではないが、コレのどこがいいのか俺にはよくわらなかった。

 けれど、幼馴染が食べたいと言っていた推しのオススメのアイスが、どうやら俺の働いているスーパーには売られていないらしい。

 俺は、そのアイドルのSNSを確認すると、コンビニまで自転車を走らせた。1番近くても自転車で20分もかかりやがった。夜中の商品補充のトラックが止まっていた。自転車から下りて、店内を確認するとSNSで見た物と同じものが売られていた。

「やった」

 これで彼女の笑顔が見られるかもしれないと思った。SNSで見た物と同じ商品を2つほど手に取り、レジへ向かった。

 緑の制服に「鈴木」とネームプレートを付けた店員が気だるげにバーコードを通す。

「いらっしゃいませ、1点205円、2点180円……合計で385円になります…」

 俺は、400円を払ってスプーンを二つ貰うと、エコバッグに入れて溶けないように家に帰ってきた。


 自転車を敷地内に停めると、自分の部屋に戻ってきた。

「……………………え?」

 自分の部屋の明かりをつけると、そこには彼女が三角座りでメソメソと泣いていた。

「………ど、した?」

 とりあえず、アイスの話は今じゃない気がして机に放った。

「ねぇ……………私って、気持ち悪いの?」

「……は?」

 いきなり何を言い出したのかと、彼女の前に俺は膝をつく。

 彼女は、三角座りの膝に顔をのせると、腫れた目に涙をためながら呟いた。

「なんか、SNSで呟かれてた…」

 アンチコメントみたいな事を言っているのだろうか?

「え、でも前に心ないアンチがいたから、SNSは辞めたはずじゃ?」

 彼女は、学生時代にも有りもしないような噂を流されたりしていた。見た目が地味というだけで、いろんな標的にされてきて、顔を晒していないネットの世界でなら、そんなことはなくなるはずだからと始めたSNSにさえアンチは群がり、そういう類いの物事を辞めてしまったはずのに…。

「なんか…生きてるだけでキモいんだって…推しが、SNSで言ってたの……」

「はぁ??」

 アイスを買うために俺もアイドルのSNSを確認したが、そんな事どこにもなかったような。

「裏垢みつけちゃって……そこに『好きってだけで、このアカウントまで見つける奴…キモ』って」

 俺が見ていた表のアカウントではなく、裏垢の話か。裏垢で会社の愚痴とか言う人はいるって聞くけど、アイドルがファンを傷つける事があるのか。

「大丈夫…?」

「分かんない………」

 女子にとってアイドルって、生きるための糧みたいな物だから、明日から大学を休むとか言い出したりしないだろうか。…そうでなくとも、今は違う大学に通うようになったから、イジメられてないか不安でしかたないのに。

 そうだ、そもそも俺は自分の大学の文化祭に彼女の推しが来るから来ないか?と誘っているんだった。

「俺の大学の文化祭には、来るの辞める??」

「え……………行く、もん…」

 来ないという選択肢はないみたいだけど、本当に行っても大丈夫なのか、と目が泳いでいる。

「来るなら来るでいいけど、大丈夫かよ」

「…………同じ空気吸いたい、し」

「あ、そう」

 言うて、凹んでなど無いのだろうか?女ってマジでよく分からん。

「自分の部屋戻っても眠れそうにないなら、泊まってけば?」

「うん………………ところで、何買ってきたの?」

 話が一段落つきそうな所で、買ってきた物を追求される。いま、アイスの話題はヤバいと思って誤魔化すことにした。

「なんでもない。さっさと寝ろ」

 俺は、買ってきたアイスの袋をを持ち上げると、部屋の電気を消してリビングに逃げた。

 冷凍庫に買ってきたアイス二つを格納する。

ダンッ!

 冷凍庫を閉めながら、思わず自分も苛立ちを隠すことが出来ずにいた。

「(アイドルがファンを傷つけるって、なんなんだよ!」

 同じアイスを食べさせさえすれば、彼女を笑顔に出来るもんだと思って買ってきたのに…何故か上手くいかない。

「傍にすら居ないような奴が泣かせてんじゃねーよ!」

 俺はずっと傍にいるのに、ピンチの時はいつだって助けてきたはずなのに、自分の気持ちの行き場がなくて苦しくなる。

 それでも、彼女が自分の大学の文化祭に来たいと言うのだから、学校案内をする他はない。

 好きな人が決して自分には見せない笑顔を、その真横で眺めるために、俺は彼女の願いを叶え続けなくてはならない。

 俺は、そのために泣いてなんていられない。




アイス……愛する…ル?の続きのような話??

わ、計算間違いしてた…ごめんね。どうりで何か安いと思った(苦笑

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