4.「詰み回避」の型・なろうテンプレが犠牲にしているもの
さて、ここまでで「なろうテンプレ」が何を重視したフォーマットなのか、強みが何なのかを考えてきました。
・なろうテンプレの長所は「次の展開が組みやすい」こと
・なろうテンプレ作品の長所は上記により展開が詰まりづらく、更新が早いこと。
これとは別に、なろうテンプレが流行りの型であるが故の長短、
・読者が似たような設定を見慣れていること
・前提としての説明が少なくて済むこと
などもありますが、この辺りはまた別の機会に語りましょう。
今回はなろうテンプレがこの長所「展開の組みやすさ」「更新の早さ」のために、何を犠牲にしているかを考えていきます。
1・オリジナリティ
まず思い付くのは、展開が類型染みたどこかで見たものになってしまう、というものです。
しかしこれはなろうテンプレの欠点というより、作者の力不足だと考えるべきでしょう。
いつも良く見る材料で見たことのない料理を作ることは不可能ではないですし、実際によく見るなろうテンプレから始まって、他で見ることのない独自の展開に発展する作品は存在します。
なろうテンプレがオリジナリティを犠牲にしているとしたら、それはあくまでも「序盤のオリジナリティ」に過ぎず、それはハードルの低さという点で読者獲得に繋がるものでもあります。
2.作品の緊張感
次に、なろうテンプレは主人公を難題に直面させないことで作品の緊張感を損なってしまいますが、この部分は長所である「展開の組みやすさ」「更新の早さ」とのトレードオフです。
作者の力量に応じ、長所を損なわない範囲で縛りや強敵を登場させても問題ありません。それが出来ないようであれば、単純に作者の能力不足です。
3.展開の中弛み
全体の構想をきっちり決めずに順繰りに書いていくことで、ストーリー展開に強い縦軸が生じず、連載が長期化すると迷走してしまうという懸念も考えられます。
この点は否定しがたいですが、キャラクターを魅力的に描くことが出来さえすれば特に問題がないでしょう。なろうテンプレに限らず漫画連載などでも致命的になり得る問題ですが、キャラクターが強い個性を持っていて、こいつならこうする、という一貫性があれば、ストーリーに頼らずとも物語を牽引できます。出来なければ作者の能力不足です。