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小さな国の大きなひと  作者: Quantum
ふたりとみんなの日々
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おうち問題

 怜士が現在住んでいる部屋は仮住まいである。すでにいろんなことの舞台になっており、一部の人には非常に印象の強い場所だが、本来はひとが住むことを想定していない。そして、ちゃんと後のことも考えられている。しかし、すこし揉めている。


 もともと、王城の敷地内に、怜士用の家、宮殿を基準にすると『離れ』のようなものが作られる予定だった。もちろん、今もその予定は覆っていないが、『どういう家を建てるか』で、二転三転した。今も少ししている。


 最初は、わりとこじんまりした建物が考えられていた。まあ、基準が『姫様が妻として住む家としては』なので、怜士的にはちょっと引くぐらいだったが。


 ところが、怜士が■ーマンコンクリートを発明した。ここでちょっと揉めた。建築担当者たちが、『コンクリート使えば、もっと違うものが作れそう(だから使わせて)』という声が出てきた。


 ちなみに関係者の間では、この新素材は、怜士の発した発音そのまま『こんくりーと』と呼ばれ、従来あったもの(ペートルとよばれていた)とは区別されている。


 面白そうだったので計画の修正が許可された。ちょっと形状が凝ったものが考えられた。怜士的にはわりとどうでもいい感じ、ちょっと自分のキャラと違うかなー、と思ったが、サリューがちょっとはしゃいでいたのが滅茶苦茶かわいかったので特にNGは出さなかった。


 ところがその後、怜士が街道修復という、大実績を作ってしまった。これでかなり揉めた。家がどうこう、というよりも、怜士の処遇をどうするか、という問題の余波をくらった。


 怜士は、この国の最重要人物になった。もっというと、大陸東部諸国、あるいは世界で最も、といっても言い過ぎではないほどの人物になった。


 ただし、諸外国には情報を可能な限り秘匿しているので、国内でそういう認識、というだけだが。


 実績にふさわしい地位を与えようという話になった。しかしここで怜士がゴネた。


 地位そのものはともかく、それに付随する責任や義務について、とても負いきれない、と怜士は思った。ここでいう地位とは、はっきり言えば貴族の身分、爵位である。この手のものは、過去の歴史によって形成される部分が大きい。そういうものがない異世界、社会で、庶民として生きてきた怜士としては、ちょっと勘弁してほしかった。


 しかし、そういう話になって、改めて別の側面の話もされるようになった。『王家の姫君が、無爵の男に嫁ぐのか?』という指摘をされ、怜士はショックを受けつつも、状況も理解した。


 普段、あまりにも距離が近すぎて忘れそうだが、サリューは『おひめさま』だ。現王の妹だ。めったに話題に上らないが、実は王位継承権一位保持者でもある。


 そういう人物が降嫁するに、日本のような名目上貴族がいない国はともかく、はっきり貴族制を敷いている国で『平民』に嫁ぐは軋轢がありすぎる。


 サリュー本人は性格的にそういうことにはまったく関心がないが、怜士が男の見栄もあって気にした。そして考慮の結果、面倒ごとはごめんだが、自分が貴族になるのがいちばん面倒ごとが少なそうだという結論に達し、叙爵を受け入れた。伯爵・レイジ・ドゥ・クドーの誕生である。


 で、家の話である。


 伯爵の家、というか屋敷?としては小さすぎないか?という話が出た。


 しかし、王城の敷地内に、王宮:王家の屋敷のほかにそんな大きな邸宅を作るのもおかしい。さらに言えば時間がかかる。実は今作ろうとしている邸宅も、結婚のことを考えると時間の余裕はあまりないのだ。


 …で、結局、結論は先延ばしになった。怜士を伯爵に叙すというのも、決定事項だが詳細は決まっていない。仮に王都の中に改めて邸宅を作るにしても、他の伯爵と同じ程度ではセキュリティ上神経質になる。領地を与えるか否か、与えるとしてどこか、そういうことも決まっていない。


 そんな状況では何も決められない。というわけで、現在建築中の新居も、『仮住まいVer.2』となることだけが決まり、それ以外は腰を据えて改めて議論することになった。


 めんどくさーー…


 道路工事してるのがいちばん気が楽な怜士だった。

 今回この小説を書くにあたっていろいろ調べて、『建築』と『土木』って、別物なんだということを初めて知りました。そういうものなんですねぇ。

 まあ、作者の知識レベル、そういうことですので、建築についても細かいところの突っ込みはご容赦いただけるとうれしいです。

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