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隣の幼なじみがまた「ステータスオープン!」と叫んでる 勝ちヒロインの定義  作者: タカハシあん


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26 出発前夜

 馬車を隊商に合流させ、イルアとラミニエラが隊商の主要な人たちに挨拶へと出かけていった。


 わたしはイルアのオマケだからついていくことはなかったけど、隊商の食事を担当している者へと出かけた。


 大隊商ともなれば御者だけでも五十人になり、商会の者、身の回りをする者、護衛で百人を超すこともあるとか。聞いてるだけで凄まじいものよね。


 明日の朝に出発とは言え、食事は摂るもの。火を炊くところに料理をする者がいる。


 探すと若い男性が四人と、四十過ぎくらいのおばさんが二人が食事の用意をしていた。


「こんばんは。護衛する冒険者の付き添いをするミリアです。王都までよろしくお願いしますね」


 調理をする集団へと挨拶する。


「あー。話は聞いてるよ。よろしくな」


 大隊商なだけに社交性はあるようで、小娘相手にもちゃんと受け答えしてくれた。


「はい。あと、こちらには治癒魔法が使えるシスターと水を出せる冒険者がいますので」


 わたしの力ではないけど、旅は助け合いと言う。使える力は皆で使いましょう、だ。


「それは頼もしいこった」


「水のないときは頼むよ」


 世間話をちょっとしてから自分たちの馬車に戻ると、イルアとラミニエラが戻っていた。


「早かったのね」


「ああ、挨拶だけだからな」


 面倒な話は冒険者組合でしたってことね。


「ミリアはどこにいってたんだ?」


「隊商の人に挨拶よ。これから数日はともにするんだからね。あと、治癒魔法が使えるシスターと水を出せる冒険者がいることを教えたから求められたら応えてね。隊商との不和を生まないために」


 ギスギスした関係のまま数日も一緒とか拷問でしない。持ちつ持たれつがいい関係なのよ。


「ミリアのコミュニケーション能力は相変わらずだな」


「コミュニケーション能力とは?」


「あー人間関係を良好にさせる能力だよ。ミリアはそれで町のボスみたいになってるからな」


「人聞きの悪いこと言わないでちょうだい。纏め役みたいなものよ」


 まあ、十五歳の女が纏め役ってのもどうかと思うけど、ボス扱いするのは止めてちょうだい。


「はいはい。ごめんなさいね」


「そう言えば、ダリオ様は?」


 ここにきてから見てないわね。


「ダリオ様でしたら冒険者組合にいっております。明日の出発までにはくるそうですよ」


 なんのために? と言う言葉を飲み込んだ。自ら厄介なことに首を突っ込むなんてどうする。知らないのが平和に過ごす秘訣だわ。


「イルアは、馬車にいられるの? 護衛のところにいくの?」


 細かいことは訊かないけど、どんな護衛かは聞いておかないと。


「馬車にいるよ。オレは万が一の護衛だから」


 つまり、万が一にも許されない依頼ってことなのね。ハァ~。


「イルア。湯浴みする?」


「する」


 毎日入らないと気が収まらないイルアならそう言うと思ったわ。


 荷車から盥と樽を下ろし、イルアが湯を溜めている間にわたしは幕を張ることにする。


 カンテラを張り棒に取りつけ、イルアに先に入ってもらう。


「シスターは湯浴みします?」


 わたしはもちろんするわよ。わたしも毎日入らないと気が収まらないからね。


「入ります」


 きっぱりと言うラミニエラ。まあ、世間知らずも身を綺麗にしたい欲求はあるわよね。


 イルアが湯浴みを終える間にボットを用意し、魔導箱から冷えた牛の乳を出して入れておく。なぜかわからないけど、湯浴み後によく冷えた牛の乳を飲むのが好きなのよね、イルアって。


「ミリアは本当に手際がいいのね」


 なにか感心されるわたし。感心されるところなんてあったかしら?


「そうですか? まあ、いつもやっていることですから」


 うちではないので勝手は違うけど、そう手間取ることではないわ。


 イルアが湯浴みを終え、次はわたしたちが湯浴みをする。


 予行練習でも二人で入ったけど、やはり他人と湯浴みするのは落ち着かないわよね。ぷるんとした胸も目のやり場に困るし。


「ミリア。背中拭きますよ」


「あ、ありがとうございます」


 ラミニエラは二人で入ることに抵抗がなく、わたしの背中を拭いてくれた。


「教会でもしてるんですか?」


「はい。水浴びは日課ですから」


 教会にそんな日課があったんだ。だからシスターっていつも綺麗だったんだ。


「でも、湯で体を綺麗にするのはいいですね。水だと夏でも辛いときがありますから」


「それは辛いですね」


 わたしは物心ついた頃から湯で体を洗っていたからどう辛いかは知らないけど。


 湯浴みを終え、片付け──ようとしたらリガさんとマールさんも入りたと言うので残り湯を使ってもらった。


 どんどん湯浴みを覚えていく人が増えていくわね。


 二人が終わり、皆で片付けを済ませ、わたしとラミニエラは荷車に布団を敷き、イルアは荷車の下に布団を敷いて早めに就寝した。


 リガさんとマールさんは交代で眠るらしいわ。


「布団、いいですね」


 ラミニエラも布団のよさに呟きを漏らし、すぐに寝息を立ててしまった。予行練習でもそうだったけど、意外と神経は図太いみたいね。


 まあ、わたしも図太いほうだからすぐに眠りへとついたけどね。

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