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隣の幼なじみがまた「ステータスオープン!」と叫んでる 勝ちヒロインの定義  作者: タカハシあん


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14 予行練習

 朝、いつものように陽が昇る前に起きて、身嗜みをしてから朝食作りを開始した。


「おはようございまーす」


 しばらくしてコリルがやってきた。


「おはよう。よろしくね」


「はい。なにからしますか?」


「卵を茹でてちょうだい。タルタルソースを大量に作るから」


 鍋一つ分作って魔導箱に入れておけば王都までは持つはず。ダメなら諦めてもらいましょう。


「タルタル、いいですよね。わたし、大好きです」


「旅に出たら冷氷庫が空くから作り置きしたらいいわ」


 冷氷庫の大半はイルアの分だ。いなければ作り置きがたくさん入るでしょうよ。


「あ、冒険者組合に依頼を出さなくちゃいけないわね」


 イルアがいれば氷なんて出し放題なんだけど、いないとなれば魔法使いに氷を出してもらわないといけないのよ。


「じゃあ、ミリアねーさんたちが出かけたらわたしが出しておきますよ」


「そう? じゃあ、お願いするわ」


 冒険者組合は町の仕事も請け負ってくれる。わたしたも溝掃除のときは水を出せる魔法使いさんに依頼するわ。


「おはようございまーす! パンをお持ちしました~!」


 外からシェラの声。アレが落ち着いたようね。


「ミリアねーさん、おはようございます。旅に出るって聞きましたけど、本当なんですか?」

 

 パンをテーブルに置くなりそんなことを尋ねてきた。


 寝るのは孤児院だけど、朝早くからパン屋で働き、夕方から寝ちゃうから情報が入るのが遅いのよね。


「ええ、そうよ。あ、親方に明日からパンを倍にできるか訊いてみてくれる」


 旅では堅いパンなんてたべたくない。魔導箱に入れるものに加えておきましょう。


「わかりました。親方に伝えておきます」


「ありがとう。わたしがいない間、コリルを助けてあげてね」


「はい。任せてください!」


 元気に返事するシェラ。頼もしい限りね。


「じゃあ、また明日きまーす!」


 シェラが出ていくと、入れ違いにイルアがはいきた。


「おはよう、イルア。今日は早いのね?」


 まだ鐘一つなのに。


「今日は馬車を取りにいってくる。昼前に帰ってくるから昼食をよろしく。あ、もういくから朝食を包んでくれるか?」


「わかったわ」


 たまにこう言うときもあるので、インベントリに収納できる鍋物と届いたばかりのパンを手提げ籠に入れて渡した。


「ありがとう。いってくる」


「はい、いってらっしゃい」


 イルアを見送り、これまた入れ替えるようにとうさんたちが起きてきて朝食を出した。


 とうさんたちも見送り、昼の下拵えしてから買い物へと出かけた。あと、またカリアが叫んでいたのは軽く流しておきます。


 買い物を済ませて帰ってくると、イルアが帰っていた。


「おかえりなさい。早かったわね」


 朝早く出る必要あったの?


「ああ。思いの他交渉が上手くいったんでな。昼食後、その馬車のところにいくんだが、大丈夫か?」


「まあ、大丈夫だけど、まだ出発じゃないんでしょう?」


「あと五日くらいかかると思う。だから、慣らしに一泊二日で町の外にいこうと思ってな。ミリアもいきなりだと大変だろう? 予行練習して問題点を見つけるのもいいだろう」


 確かにいきなりは辛いか。一泊二日の予行練習をみるのもいいかもしれないわね。


「魔導コンロも買えたし、インベントリを四つ空けたからあるものを持っていけばいいだろう。魔導箱もあるしな」


「なら、シスターラミニエラも誘う? あのシスターも初めての旅みたいだし」


 それどころか町から出たことあるのかもわからない。わたし以上に酷いことになると思うわ。


「そうだな。誘ってみるか」


「ええ、そうしましょう。昼食を摂ってからにする?」


「ああ。午後から出て、暗くなる前に夜営。一泊して昼くらいに帰ってこればいいだろう」


 いきなりは辛いけど、旅に出たらいきなりなことに見舞われるはず。覚悟するにはちょうどいいでしょう。


「コリル。そう言うことだからお願いね。もし、大変なときは手伝ってもらってもいいし、わたしの部屋を使ってもいいから」


「わかったわ。任せて」


 と言うので昼食を用意し、わたしとイルアで先に済ませ、魔導箱に一泊、いや、万が一を考えて三泊くらいできる量を詰め込んだ。


 とうさんたちが昼に戻ってきて、一泊二日で出かけることを伝えてうちを出た。


 教会へと向かい、司祭様に事情を説明する。


「そう、ですね。確かに予行練習は必要ですね。わかりました。許可します」


 実は反対されることを期待していのだけれど、そう上手くはいかないか。もっともなことだしね……。


 ラミニエラが呼ばれ、事情を説明される。


「はい。わかりました。すぐに用意します」


 ラミニエラもラミニエラでやる気満々である。きっと町を出れることにばかり意識がいって他のことは考えてないんでしょうね……。


「イルア。ラミニエラをお願いしますね」


「わかりました」


 司祭様の言葉をそのまま受けとるイルア。まったく、頭がいいのに女の思惑に気がつかないんだから。


「ミリアもお願いしますね」


「そんな、わたしのほうがシスターラミニエラに頼るほうですよ」


 言質は取らせない。けど、拒否はみせない。わたしはあくまでもイルアのオマケ。ラミニエラのために動くわけではないわ。


 司祭様の笑顔を笑顔で弾き返した。


 ハァ~。どちらにしろ面倒な一泊二日になりそうだわ……。

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[良い点] 近所の幼なじみがまた「なにが無駄よ! イルアの釜戸女のクセに!」と叫んでる 軽く流すのが勝ちヒロインの定義
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