purA 1上 「ふぁーすとこんたくと」
稚拙で拙い文章であります。ご容赦ください。
某都市の某家屋の某日。などと言う非常に曖昧かつ稚拙な表現で申し訳ないが僕のこれまでの話はこうやって全て未知的で意味不明的で骨董無稽的な表現で始めるのが一番わかりやすい。はずだ。申し訳ないが、しばらくの間はご静聴のほどよろしく頼むよ。ことの顛末を話し終えるまではね。
「あの松枝さん、頼みがあるのですが。」
端正な顔立ちの少年が口を開く。
「なんです〜?」
赤い髪の女性が応える。背丈は女性にしては高く、しかし華奢な体と立ち振る舞いが彼女の美しさを顔を見なくても確認できるのは自明のりであr
「あの、変なモノローグ付け加えないでもらえますか?」
彼の透き通った赤い瞳が呆れたように揺れる。
「え〜なんでです〜?まだまだ私の美しさを言葉で表すには足りないんですけど〜。」
なぜ咎められるかが分からない、といった表情で彼女は返す。
「はぁ、まぁ、いいです。」
「ちょっと!?冗談じゃないですか!呆れないでくださいよ!!」
「そう言う類の冗談は好きじゃないと言いませんでしたか。」
「え、逆に好きな冗談とかあるんですか!????オドロキモモノキサンシュノキです!」
「戻ります。」
「ごめんごめんまってぇ!!」
流石にふざけすぎたかと、自室に帰ろうとする僕に慌てて駆け寄ってきた。
「なんですか。」
自室へとつながる扉のドアノブに手をかけながら少年は尋ねる。扉にはDo not enterと大きな看板が打ち付けられている。
「え、あ、その、えっとぉ」
「用がないなら部屋に戻りますが。」
「ちょ、私に対して辛辣すぎやしませんかねぇ!?もう少し労りというか何というかがないんですか!」
なんの躊躇いもなく扉を開き部屋に入ろうとする少年に松枝は目に涙を溜めて訴える。
「何に労われと。」
少年は不思議そうな目で彼女を見る。
「食事洗濯掃除!!誰がしてると思ってるんですか!私です私ぃ!私こと松枝が全部してあげてるんですぅ!」
悲痛な彼女の叫びに
「戻ります。」
と一言だけ呟き、自室に戻ろうとする。
「ちょっと待ってぇ!」
と腕を抑えられ引き止められる。
「それが人にものを頼む態度ですか?」
「あっ、サーセン....」
そして ん? と思い出したかのように
「あれ、そういえばえん君が私に頼みがあるって言ってきたんじゃ無かったっけ..?」
「ええ、そうですが。数十秒前の出来事ですよ?まさかもう忘れたんですか?」
ぴょんっと跳ねている彼女のアホ毛をてしてしと弾きながら言う。
「えぇ、ご、ごめんなさい。」
アホ毛に痛覚があるのかアホ毛を撫でている。そしてようやく申し訳ないと言った悲しげな顔をする彼女に
「しょうがないですね、僕の頼みを叶えてくれたら許します。」
そう優しく声をかけられた。しかし、あれ..?今までの状況を整理すると明らかに私に非はないのでは..?いやまぁそこそこのことはしたけどそこまで怒られるようなことでもなくない??いや、間違いない!私は悪くない。全く、たまには私もえん君に一言お灸を据えてやらなきゃうんうん。なんたって私はえん君の唯一の身内で頼れる賢いお姉さんだもの!
「ちょっとえん君..?そのぅ、もうちょっと言葉を選んでくれないかなぁ..?お姉さんちょっとおこちゃうよ?なぁんて?」
「ご、ごめんなさい、怒らせる気はなかったんです、松前さん..。」
と一言小言を言おうとしたが、目をうるうるとさせて上目遣いで謝られた松枝は
「ごっめんんねぇぇぇ!!嘘だよ嘘!怒ってないよおおおおん!。」
少年のあまりの愛らしさに敗北し、その速さに衝撃波が発生してしまえそうなほどの爆速手のひら返しを敢行した頼れる賢いお姉さん(笑)。しかし彼女は気づいていなかった。先程までの少年の言葉が全て棒読みだったという悲しい現実に。
「あ、そういえばその頼みをまだ聞いてなかったね。聞かせてくださいよ、えん君の頼み。えん君が私に何かを頼むなんてものすごく珍しいことだからね、どんな無理難題にも答えちゃいますよ♪」
唐突に用件を思い出した松枝は質問する。
普段物を頼まない僕に何かを頼まれるのが本当に嬉しいのか、頭の触覚を、もといアホ毛をぴょんぴょんと機嫌が良さそうに動かして僕を見る。しかし彼女とは真反対の感情を抱いている、つまり緊張している僕は緊張をほぐすべく「すーはー」と深呼吸して、心を落ち着かせる。全神経を言葉を紡ぐために使う。緊張したのはいつ以来だろうかとなどろ考えながら、顔を下げて言う。
「ここから出てみたいです。」
言った。長年言えなかった事をついに言えた
。そう、えんこと玖美夜焔14歳、通常によれば日本が義務付けた義務教育制度の対象内の年齢であるので、一般教育を納める場合である学校に行っているはずの年齢なのである。しかし彼は、子供が行くべき学校どころかその長い生涯の中で一度も外に出た事がないのである。彼は物心ついた時から愛すべき彼の家であるプラネットから出たことがないのである。
僕がこれに気づいたのは恥ずかしながらつい最近のことで、松枝さんの持っている携帯機器を覗き見るまでは、世界はこの家の中だけに存在し、またそのように教わってきたので特に思うことはなかった。しかし松枝さんの携帯機器の情報が正しければ(スマートフォンというらしい)この世界はものすごく大きいらしい。どれくらいかはわからないが、少なくとも僕の既知の世界よりかは10倍も100倍も大きいらしい。そしてたくさんの生き物がいるらしい。これだけでも驚きなのだが、それよりも一番心惹かれる文面があった。その想像の範疇を超える世界への入り口はどこにでもあるという。松枝さんが普段出て行く場所がどうやらその入り口ではないかと僕は検討をつけた。そしてどうすればその世界に行くことができるのかを真剣に考えた結果、現在に至るというわけだ。
そうしてえんは恐る恐る、下げていた顔をあげ彼女の顔を見やる。というのもどういう行動を取るかがまるで予想できなかったからだ。。なにせ、仮にその広い世界があるとしたら、松枝さんは僕を長い間、物心ついてから現在に至るまでの13年間に渡り、僕を騙していたという事になる。だから松枝さんの行動が読めず今まで言えなかった。覚悟を決め、僕は覚悟を決めて松枝さんを見るべく顔を上げる。そして恐る恐る顔をあげた先には。
「.......」
「キョトン」という効果音が幻聴すら出てきてしまえそうな困惑の表情を浮かべ、首とアホ毛を傾ける。松枝さんの姿があった。未だに状況が理解できていないらしい。もう少しピリピリとした空気になると思っていたが、いつも通りのアホそうな松枝さんだった。
「松枝さん。」
そして急に固まったまま、ピクリとも動かなくなった松枝さんに声をかける。突然のことで驚いているのだろう。怒られると思っていたが、どうやら杞憂であったらしい。
「松枝さん。もしもし、聞こえていますか。」
そして僕は動かなくなった松枝さんに、文字通り呼吸すらしなくなった松枝さんにある疑問を抱いた。そう、至ってシンプルで単純な疑問だ。そう本当に簡単な問題だ。複雑な計算や言葉を巧みに使う必要も何もない簡単な問いだ。
そう、人間は首を傾けることが
はたして、首を横に139度回転させることがでるのか、と。
そして僕はその疑問の、おそらく答えであろう解を導き出した。結果質問する必要があるのかと数秒熟考したが、一応口に出して聞く。
「松枝さん、もしかして死んでいますか。」
反応はない。どうやら予想通り質問する必要はなかったようだ。
そして首が折れた松枝の背後から
「みっしょんこんぷりぃーと。いぇい。」
気の抜けた声が聞こえた。
稚拙で拙い文章で誠に申し訳ありません。誤字脱字などあれば遠慮なくご指摘ください。