翠とあかの瞳 ものろーぐ
いみのないはなし。
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仕事に関係のない小部屋があった。私は疲れていた。というかなぜ私がまだ生きているのかが私自身にもわからない、それぐらいには疲弊し困憊していた。いや、と赤髪の少女は自分自身に問いた。そもそもなぜまだ私は生きているのか、と。「死ぬことは悪とされている世の中だ、しかし私に言わせれば生きることこそが悪なのだ」なんて偉そうで御高尚で、そのくせ大した意味もない事を事実とは思わないし考えない。ただ私は疲れている。何もしたくない。悪だとか正義だとかどうでもいい。疲れることはしたくない。「ってそうだ!死ねばいいんだ。生きると疲れるけど死ねば何も感じないじゃないか!なぁ〜んでこんな簡単な事に今まで気づけなかったんだろう、馬鹿じゃないのか、?私。」
疲れたらどうすればいいという自問に、死ねばいいという簡潔でわかりやすい自答ができたと、彼女は素直に喜んだ。彼女の赤い髪と美しい容姿は何かつきものが落ちたかのような清々しい笑顔を浮かべていた。それは大半の性別に関わりなく人間を魅了する事ができそうな美しい笑顔だった。しかし、彼女の翠色の瞳からは苦しみと怒り以外感じ取る事ができなかった。彼女は血に染まった右腕が握っているさらにもう一段階血に染まったナイフを首にあてがった。今までのそこそこ短いようで長かった18年間で培った人を殺す技術、否、培うを得なかった技術を今初めて自分の意志で使用する。今まで何度も折っては直し汚れては洗ったナイフが帯びた鮮血で艶やかに輝いている。まるで私の門出を祝うように。さぁ行こう、いや終わろう。長く苦しい人生に別れを告げよう。
「さらばっ!!!。」
その瞬間だった。
彼女が今、まさに命を絶とうとしたその瞬間
「おなかへった。」
気の抜けるような、声がした。
どうか。ご寛容ください