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魔法学院への入学

アーバレストとミーナに連れられ街へ買い物にきた。

視線が痛い。

「この二人、外でもこんなにイチャついてるのか…」

ナギはため息をこぼす。


きっとこの二人も色んな意味で有名なのか、待ちゆく人は笑顔で挨拶してくる。

俺を二人の子供とか勘繰る人もいるが、あながち間違ってもいない。

俺はアーバレスト・ダインの家の養子として迎え入れられた。

名前は変わらないらしい。

アーバレストが気を回してくれたようだ。


「さぁて!ナギはどんな服が好きなのかしら♪」

ルンルンでミーナが問いかけてくる。


「ぇっと…住んでたとこから出たことなかったから、あまりよくわかんないんだ」

ナギが苦笑しながら答える。


「そっか~、じゃぁ私とアーバレストに任せてね!」

ミーナはすごく張り切っている。なんか怖い…。


「あっははは、あ~なると長いぞ?」

アーバレストは満面の笑みだ…。

なんかもうどっか行きたい…。



それから数時間、途中で昼食も挟みながら買い物を終えた。

マナ量を増やす特訓という名目で、

ミーナの買い物にも散々付き合わされた挙句、全ての荷物を風魔法で持たされることになる。

周りの目が痛い…。

アーバレスト曰く、風魔法をここまで使いこなせる人はあまりいないそうだ。

何より風魔法を使う人が少ないんだとか…。

風魔法の適性は祖母である"レナ・テスタロッサ"が教えてくれたものだ。



まだ小さいとき…そう、祖母が亡くなる少し前の話だ。

マナ量が増えていることに気付いたからか、祖母はよく目の前で色々な魔法を見せてくれた。

その中で風魔法を使った際、"共鳴"が起きたそうだ。

祖母の風魔法がナギを包み込んだという話を聞かされたことがある。

共鳴は稀に起こることがあるそうで、適性が高ければ高いほど、その共鳴は大きいものになるそうだ。


うろ覚えだったこの記憶は、祖父である"バルト・テスタロッサ"に話を聞かされた。

祖母がとても喜んでいたことや、夢中でナギに魔法を披露していたことなど、

祖父も大喜びで付き合っていたそうだ。



懐かしい記憶だ…。

なぜ風魔法に適性があるのか…偶然なのか…それともサクヤが関係しているのか‥。



家に着くころにはマナはほぼ枯渇していた。

家に着くなり倒れこむナギを嬉しそうにミーナが見る。

「ナギ!よく頑張ったねぇ、こんなに買い物したの初めて♪」

嬉しそうに言うが、要するに荷物持ちが出来て嬉しかったということだろうか…。


夕飯を食べてお風呂に入った後、ぐっすり眠った…。



よく朝目が覚めて学院の制服に着替えると、二人は涙した。

「く…こんなに早く…わが子の制服姿を見れるとは…」

アーバレストは大粒の涙をボロボロ流す。


「えぇぇぇぇん、ナギ…うぇぇえええん」

ミーナに関しては号泣している。


嬉しくもあり恥ずかしくもあり…全く…。

ナギも微笑む。



「二人とも、いってらっしゃい♪」

ミーナの可愛らしい送り出しを見た後、アーバレストと歩く。


「ナギ…一つだけいいか?」

アーバレストは真剣な面持ちで喋りかけてきた。

「この学院は地位のある両親を持つ子が多く在籍している…君がいままで接してきた人たちとはまるで違う…。

私は元々地位のない親元で生まれ育った。

この学院は魔法学院という名前だが、魔法が使えない者たちも入学を許されている。

ただ…剣士と言われる者たちは、みな迫害される。

魔法使いの方が立場が偉いと…暗黙の了解というやつだ。

出来ればナギにはそんな思考を持ってほしくはないが…」

アーバレストは苦笑いしながら言った。


「大丈夫だよ、僕はそういうのに興味ないし。」

そう言うとアーバレストはニッコリ笑った。



アーバレストはイケメンだ。

学院の女の子たちはアーバレストに笑顔を向けて挨拶する。

必然的にナギも返事をすることになる。


新入生だといっても、ここではよくあることなのかあまり反応されない。



「じゃぁ、ナギはあっち、僕はこっちだ」

アーバレストに道を聞き、自分の部屋を探す。


「どけ!!」

後ろから思い切り突き飛ばされた。


「いって…なんだ?」

ナギは振り返ると、あ~こんなの絶対いるよな~という目で見た


「なんだ貴様!その目は!ムカツクやつだ!お前どこのクラスだ!」

金髪の七三分けおぼっちゃまがギャーギャー騒ぐ。


「単色のクラスだけど…」

ナギが自分の胸を指さし伝える。


「ふ、たかが単色如きが俺様の道を塞ぐな!」

金髪七三分けはドシドシと廊下の真ん中を歩く。


取り巻きどもからもバカにされ、ちょっとムカツク。



「君、単色の新入生??」

赤毛のポニテ女子が声をかけてくる。


「うん、そうだけど…君は?」

ナギの問に笑顔で答える。


「私はレム・アムール。同じ単色なの、宜しくね」

とても可愛らしい笑顔で返事をしてくれる。


「僕はナギ・テスタロッサ。よろしく」

レムの手を取り立ち上がる。


ついでに単色クラスにも連れてってもらう。


「ねぇレム?単色の他にどんなクラスがあるの?」


「え?知らないの??知らずにここに入学してきたの?」

苦笑しながらも答えてくれる。

「この学院にはマナ量や運用の仕方で評価されて7つのクラスに分けられているの。

下から順に、単色、二色とあって七色まであるってわけ。

ちなみにさっきの金髪は"ゼル・ディ・オーマイト"って言って、伯爵家の三男よ?

クラスは三色。」


「なんだ、あんまり上の方じゃないんだね?」


「ヴェェ!?上だよ上!!!そっか…ほんと何にも知らないんだね…。

今の学院には4色より上の人はいないわ、4色に5人、3色に20人くらいだったかな」


「そうなんだ…いないのにクラスがあるって言うのも変な話だね。」

ナギの問いに即答してくれる。


「そこにたどり着くためにこの学院で勉強してるんだよ!

このクラスによって、学院卒業後の先は決まるって言っても過言じゃないんだから!」

ぐっと顔を近づけている。

端正な顔立ちで可愛いから困る…。


「そうなんだ、ありがとレム」

「どういたしまして♪でもちょっと知らなさすぎじゃない??」

それから授業が始まるまで色々と掻い摘んで説明した。


授業はありきたりな文字の勉強やマナの運用方法とか、ほとんど知っていることで退屈な時間だった。



お昼になってレムと一緒に学食へ行くときに声を掛けられる。


「あれ?レムの新しい友達?」

緑髪でショートカットの女の子だ。


「そうだよ。彼は私に対しても気兼ねなく接してくれるのナギだよ♪」

レムはとても嬉しそうだ。

「へ~珍しい子もいたもんだね、私はライカ・モネーア、宜しくねナギ」

ライカと呼ばれるおとなしそうな女の子も同席するとのこと。



「二人は仲がいいの?」

ナギの質問に二人は笑顔で答えてくれる。


「ライカとは2歳からの付き合いだね」

「レムとは2歳からの付き合いだね」


「そうなんだ!僕は周りに同年代の友達はいなかったから嬉しいよ」

ナギが笑顔で微笑むと二人とも一緒に微笑んでくれた。


…。

学食のメニューを見てもよくわからない…。

レムと一緒のものを頼んでみた。


ちなみにお金はアーバレストから貰っていた。


出てきたのはカレーのようなもの。

ライカはサラダに唐揚げのようなものが乗っている。


「「「いただきます」」」


美味しかった。カレーに似た何かは牛乳をまろやかにしたような…シチューっぽい味だった。



軽い談笑をして教室に戻ると、みな一応に準備をし始めていた…。

そう、この後は実技授業。


魔法を念入りに組むものも入れば、読書をして静かに過ごすもの、自分の魔法を自慢するもの…。


俺たちはそのまま談笑を続けた。





******競技場*****

教官が20名、生徒が18名


一対一のマンツーマンの授業だった。

己の得意とする魔法に合わせた教官が付き、マナの扱い方など教えているようだ。

ちなみにライカは3色クラスなのでここにはいない。


「やぁ、新入生のナギだね?」

教官の1人がナギのもとへやってくる。


「はい、初めてで何をやればいいのか…」

ナギが質問する。


「あぁ、まずはこの水晶で君のマナの器と属性を見てみよう。

そこから君に合ったやり方で力を伸ばしていこう。」

なるほど、一人一人にあったやり方をするから教官が多いのか…。

普通だったら一人の教官が一つのやり方を教えて、

後は勝手に自習みたいなもんだと思ってたけど、魔法に対する力の入れ方が違うんだと実感する。

それだけの時間と労力をかける価値があるということだ。


ナギは水晶に触れ、マナを流し込む。



パァアアアアアアア

眩しい光が水晶から放たれ、教官と生徒たちは一斉にこちらを見る。


「な、なんてマナ量だ…」

教官は驚愕し腰を抜かす。

水晶の光は落ち着き、あたりに風が吹き荒れる。


「しかも…風の適性があるのか…。」

ざわざわする中、その風を纏って落ち着かせる。


「ふぅう、びっくりした…て、あれ?」

競技場が静まり返り、みんながこちらに注目している。


「え…え~とっ??どういう状況??」

苦笑しながらレムを見るとこちらに走ってきた。


「ちょ!!ちょっと!!!何!?ナギ!!あんた何者!?」

興奮した様子でグラグラ揺らされる…。

なんなんだと言われても…。


「り…理事長!?」

教官の1人が声を出す。


「ふぉっふぉっふぉ。何をざわついておるのかと思ってきてみれば…ほぅ、ナギよ、

そなたには相当大きな力があるようじゃな?」

理事長は自慢の髭をいじりながら歩いてきた。


ブォオオン…胸元の単色バッジが輝く…

「これは?」

ナギが疑問に思っていると、すかさずレムが言う。

「んな?!よ…4色!?」

レムは驚愕する。


「え、これってどういう?」

ナギは理事長に投げかける。


「ふぉっふぉっふぉ、力あるものにはそれなりの立場と権限があってよかろう?

ここの教官も生徒達も、皆がお主の力を見た。これ以上の評価など不要じゃろうて。」

「そうそう…本題を忘れておった、ほれ」

レムの胸元も光だし、3色になる。

理事長は笑いながら競技場を後にし、競技場はカオスと化した。


凄い歓声が沸いた。

ナギには4色に、レムは3色に昇格した。

レム本人も飛び上がるほど喜んでいるが、周りの生徒や教官まで大喜びしている。


この後レムに話を聞くと、3色以上は英雄候補だそうだ。

魔獣や悪魔と同等に戦える可能性を持つものたちのことだ。


4色まではマナ量や技術で進めるが、それ以上には毎年開催される地方一体の競技に参加し、

その力を証明する必要があるんだとか。



****理事長室****

「さて、まずはこれでいいか、少しずつだか準備を進めよう」

理事長に似た何かが影と話す。

「ワタシモ…ジュンビヲススメヨウ」

影は会話を終えるとすぐに消えた。


「さぁて…盤上の駒は揃ったか…あとは…」

理事長に似た何かはニヤニヤと悪い笑みをこぼす。


理事長室の四隅の一角には小さい影があり、すぐに消えていった。

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