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お嬢様の朝の身仕度

3/16 全体の文章を整え、圧縮しました。内容は一緒です。

話し合いから3日後。

今日からドキドキの初登校で、朝から仕度に追われている。


『☆死☆の運命星』が示す、俺の死期はあの後すぐにわかった。

クルクミー親子以外の誕生日は簡単に調べられたからだ。


*****************************************

ルジンカ 17歳 → 1月1日生まれ 現在16歳

①シェイラ・フラボワーノ 40歳  →10月10日生まれ 現在39歳

②黒丸

③黒丸

④ロイル・ノヴァ・アルフェノール 17歳 →3月3日生まれ 現在16歳

⑤黒丸

⑥ネレッサ・アルフェノール 20歳 →5月5日生まれ  現在18歳

⑦ゼルセース・クルクミー 49歳  →11月 詳細不明

⑧リコピナ・クルクミー 16歳   →不明


来年の3月4日~5月4日までの間がリミット。

推定逮捕時期は9~11月。

**********************************************

つまり、今年の8月くらいまでは自由の身でいられると思われる。

とりあえず、周囲に注意して生活しましょう、ということで終わった。



すっきりしないけど、情報なさすぎだからな。

気持ちを切り替えて、お嬢様ライフをスタートだ。



昨日、一昨日は立ち居振る舞いや礼儀作法なんかを教わった。

ほとんど成果はなかったが。


歩き方、しゃべり方、感情の表し方、挨拶、食事の仕方、トイレでの用の足し方(地味に一番大事だ。ドレスをウンコで汚したら目も当てられないからな)。

これら、普通の動作だけじゃなくて、使用人へ態度とか、目上の人間への礼儀とか、貴族の娘としての心構えみたいな事柄、歌だの刺繍だの、ダンスだの、教養的な部分など、俺に足りないものは枚挙まいきょいとまがない。


習っているうちに思い出すかもと、2日で確認作業をしていたとも言える。

ダメだったが。

知ってるか知らないかが重要な事とかもあるからな。

教わってよかったとは思う。



ちなみに、リリアは俺付きの侍女だった。

先代の執事の娘で、もともとは叔母のシェイラさんの乳母だったらしい。

年齢は60を超えていて孫までいる。


ルジンカの乳母が病で死に、母親に顧みられない娘のためにおっさんが呼び戻したそうだ。

シェイラさんも記憶障害で大変だと思うんだけどな。


無駄口を叩かないし、ほとんど表情も変らない。

俺のことをどう思ってるのかも謎だ。

ただ、おっさんやベアドからの信頼が厚いのはよくわかる。

この2日間、ダメダメな俺に辛抱強く付き合ってくれたしな。

まあ、真面目な人なんだろう。


リリアさんと呼んだら、リリアと呼べとのことなので、素直に従っている。

年上女性を呼び捨てにするのって、なんか罪悪感あるけどな。




とにかく仕度だ。

まず、メイドが運んで来た水で顔を洗い、ネグリジェを脱いで、夜用のパンツ一丁になる。

パンツといっても短パンサイズのデカパンで、あんまりエロくない。


そして、襟ぐりの大きく開いた半袖の肌着を着て、コルセットを締める。

めっちゃ苦しいんだわ、これが。

なんでもないような動作で、ゼーゼーと息が上がる。


だが、おかげで俺のおっぱいはでかくなった。

フーフー息をするたびに、胸が大きく上下する。

最高の眺めなんだが、苦しさで喜びも半減だ。


コルセットの次はデカパンを脱ぎ、ノーパン状態で、太ももまである長い靴下を履く。


靴下についた紐をコルセットのサイド部分に結ぶ。

靴下がずり落ちてくるのを防ぐためだな。


ビジュアル的には、紐の部分がレースのリボンになってるやつが好きだな。

ノーパン&レースのガーターは、清楚さと卑猥ひわいさのバランスがすごくいい。


そして、ようやく新しい昼用のパンツを履く。

この順番じゃないと、トイレで毎回コルセットと靴下との連結を解除しないとパンツが下せない。


パンツを履く前の最後の一瞬。

俺はメイドやリリアの視線に注意を払いつつ、鏡に映る自分を見る。

靴下で足が覆われているだけに、エロさが際立つな。

最高!


ベアドは、自分の裸なんてそのうち見慣れるって言ってたけどさ。

あいつもこの姿を見たら、きっと発言を撤回するだろう。


コルセットを締め上げてるときなんて、あられもない姿で壁に手をついて喘いじゃったからね。

苦しさで頭がいっぱいだったけど、客観的に思い出すとめっちゃエロいよな。



ただ、パンツはいただけない。


昼用のパンツの丈はヒザまであって、夜用よりさらにデカパンなんだよ。

ハーフパンツみたいな形で、腰の紐を結んで留める仕様だ。


ちなみに、部屋着のときはコルセットはもっと緩めで、このデカパンはさらに巨大だった。

靴下と融合しちゃってたんだよ。

それってもう、ノーパンと変らなくないか?


パンツを履いたら、フリルがごっそりついたペティコートを履く。

ドレスのスカート部分を膨らませるためだ。

あと、スカートがめくれても足が見えないように。

足はエロいものらしいな。


今の季節はペティコート2枚重ね。

冬には3~4枚になるそうだ。

骨組みの入ったペティコートもあるらしいが校則違反だとか。


そして、ようやく制服のドレスを着る。

暗めの薄紫と灰色の細いストライプ柄だ。えりはつまっていて、そではヒジ上まで。


襟や袖は汚れやすいため、別途、飾り襟や飾り袖をボタンで留めて着用する。

学校指定のものもあるが、白ければなんでもOKだ。

今日はレースたっぷりのゴージャスな襟と袖を着けてもらった。

記念すべき初登校だしな。


背中のボタンを留めてもらい、ようやくドレスを着終わる。



続いて髪。

ゆるくウエーブのかかった艶やかな黒髪。

学生は下したままでもいいが、長い髪の扱いなんてサッパリだからな。

ドレスにも神経を使うし、髪は当然まとめてもらう。


両サイドに編み込みなるものを施され、真珠のついたピンを何本も使い、全ての髪が頭に集結した。

両側の耳の後ろに小ぶりの白い造花とリボンを飾った。


そして化粧。

脱脂綿に浸された、いい香りのする液体を顔に塗られる。

全体に薄くパウダーをはたき、黒い粉で眉を整える。

唇に紅をさし、上から甘い香りの白いクリームを塗られると、テカテカとよく光った。


オッパイオから作ったリップクリームらしい。

おっさんの唇が光ってるのってこれのせいか?


仕上げにアクセサリー。

花の形をした小さな金のイヤリングを耳に、着け襟の下と左腕の着け袖の奥に、それぞれ金細工の施されたクリーム色の石のブローチとブレスレットをのぞかせた。

装飾品は校則違反じゃないらしいな。



ドレスの両サイドにはでっかいポケットがあり、そこにハンカチやらリップクリームやら、手鏡やらをつっこまれていく。


ハンカチは右に2枚、左に1枚で、計3枚。

右の2枚は自分が普段使いする用で、左は予備だそうだ。

人に貸したり、膝の上に広げたりと、美しい状態のハンカチが必要なときにこちらを使用するらしい。



これでようやく朝の身支度は終了だ。


鏡の向こうには、美しく装った無限美ちゃんそっくりの俺の姿。

俺はうっとりと見つめ、熱っぽいため息をつく。

仕度は大変だったけど報われた思いだ。





自分の美しさに酔いしれ、足取りも軽く食堂へ向かうと制服姿のベアドと行き会った。

男子の制服は、襟ぐりの詰まったかっちりした白いシャツに、ヒザまである濃いグレーの上着と同色のズボン。ベストは光沢のある暗い薄紫で、上着には銀糸で刺繍が入っている。

全体的に女子のドレスとカラーリングは同じだ。


「うっす!どうだ?俺の制服姿」


近くに使用人がいないのを確認してフランクに声をかける。

振り向いたベアドは、どこか疲れているというか元気がない。


「・・・おはよう。似合ってるぞ。白いリボンがいいな」


素直に褒めてくれたのはいいが、全くやる気がない。


こいつは学校で質問攻めに会っているらしい。

“フラボワーノ侯爵令嬢、階段から落ちて記憶喪失”の噂はすでに広まっているからな。


ロイル王子との口論や、バラ園でのご乱心ぶりも知れ渡り、自殺未遂説や、王子の気を引くための自作自演説まで流れているという。


最も真実味を帯びて囁かれているのが、予知を試みて記憶障害を起こした説だ。


予知の人間が記憶に関するトラブルを起こしたら、その可能性を考えない者はいない。

やましいことはありませんアピールで記憶喪失を早々に公表したのだが、

結局誰も信じなかったようだ。



俺の状態や、どんな予知をしたのか聞き出そうとワイワイうるさいのだという。


純粋に好奇心の者も多いが、特権貰っておいて禁術を使ったのか?と、つついて来るのもいるそうだ。

フラボワーノを良く思っている奴ばかりではないということだな。


チンプンカンプンの俺が今日から登校すれば、ますますベアドへの追及は激しくなる。

朝からさぞ気が重いことだろう。



ちょっと元気づけてやるか。


俺はベアドの腕を掴み、ちょこんと背伸びをする。


「お兄さんさ、ルジンカちゃんのお着換えシーンって見たことあるか?」


息を吹きかけながら囁いた。


「・・・あるわけないだろ!」


ビクリと肩を跳ね上げ、耳を押さえて身を引くベアド。


「ないの?もったいない。一つ屋根の下にいるのにな。まだ知らないわけだ?このスカートの中の秘密をさ」


ユラユラと挑発的にドレスを揺らし、くるりとターンを決める。


「なんなんだ、朝から!」


ベアドの声に覇気が戻ってくる。


「パンツの下には何があると思う?」


「はしたないぞ!」


「靴下だよ、靴下!太ももまである。そこでパンツを脱いだらどうなる?」


「おい!」


「今、私でご想像なさったでしょ!?お兄様のエッチ」


ベアドが青筋を浮かべた時、食堂へ向かうおっさんと合流する。


「父上!本当にこいつを学校へ行かせるんですか!?」


おっさんにくってかかるベアド。

元気になったみたいでよかったよ。


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