☆死☆の運命星3
3/28 全体の文章を整えました。
内容は一緒です。
前回予知
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5月5日
『☆死☆の運命星』
ルジンカ・フラボワーノ 16歳 →1/1日生まれ 現在16歳
①シェイラ・フラボワーノ 40歳 →10/10日生まれ 現在39歳
②黒丸
③黒丸
④ロイル・ノヴァ・アルフェノール 16歳 →3/3日生まれ 現在16歳
⑤黒丸
⑥ネレッサ・ビレンチス 19歳 →5/5日生まれ 現在19歳
⑦ゼルセース・クルクミー 49歳 →11/11日生まれ 現在48歳
⑧リコピナ・クルクミー 16歳 →不明
→推定死亡(処刑)時期:11/11~12/30 推定逮捕時期:5月~6月くらい
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今回予知
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5月7日
『☆死☆の運命星』
ルジンカ・フラボワーノ 17歳 →1/1日生まれ 現在16歳
①シェイラ・フラボワーノ 40歳 →10/10日生まれ 現在39歳
②黒丸
③黒丸
④ロイル・ノヴァ・アルフェノール 17歳 →3/3日生まれ 現在16歳
⑤黒丸
⑥ネレッサ・アルフェノール 19歳 →5/5日生まれ 現在19歳
⑦ゼルセース・クルクミー 49歳 →11/11日生まれ 現在48歳
⑧リコピナ・クルクミー 16歳 →不明
→推定死亡(処刑)時期:来年3/3~5/4 推定逮捕時期:今年9月~11月くらい
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「よし!元に戻ってる!延命成功だ!」
帰宅後、真っ先に確認した鉢の予知は、一番最初の状態に戻っていた。
固唾を飲んで見守っていたおっさんとベアドも安堵のため息をつく。
「さっそく書き写すぞ」
鉢の予知は俺にしか見えないので、イラスト付きで紙に写し2人に見せる。
最初の予知の情報を書いた紙は燃やしちゃったが、前回の予知の分は保管してある。
禁術の証拠を残しておくのはリスキーだが、この情報だけが頼りだからな。
管理に気をつけるしかない。
ロイルへの恋心が健在なことを学校でアピールしてきた結果、死期が伸びた。
俺達の眉唾ものの仮説が正しかったことが証明されたのだ。
つまり、フラボワーノは王太子ウェイド王子暗殺の濡れ衣を着せられ黒刑になる。
今のままなら。
「逮捕時期が9月として、猶予は今から4か月弱か。もっと短い可能性もある。それまでに真犯人と、殺害方法特定するんだ」
ベアドの言葉にうなずく俺とおっさん。
俺らはまず、推定逮捕時期が9~11月であることを踏まえ、このタイミングで暗殺が起こる理由を検討した。
「理由は、2つあると思う」
すでに考えをまとめていたのか、ベアドがスラスラと語る。
「1つ目は、ネレッサ嬢を既婚にするためだ」
ウェイドとネレッサの結婚は8月。
もし結婚前にウェイドが死ねと、ネレッサは次の王太子のロイルと婚約する可能性が高いらしい。
ネレッサはウェイドの妻に選ばれたと同時に、王太子妃に選ばれた女性だ。
ロイルの婚約が決まっていない現状なら、婚約がスライドするのは自然らしい。
が、結婚後にウェイドが死ねば、さすがに兄の嫁を弟に使いまわしたりはしない。
「もし犯人がクルクミー侯爵なら、リコピナをロイルの妻にしたいだろ。ネレッサ嬢は既婚になっていた方がいい」
だが、とベアドが続ける。
「ルジンカの死亡時期が前倒したときは、ネレッサ嬢は未婚のままだったろ?」
確かに。
「そこで、2つ目の理由だ。たぶん、こっちの理由が本命だ」
2つ目の理由。
それは、
「新回復薬の完成を阻止するため、かな?」
おっさんが、先回りして答える。
「はい。クルクミーがフラボワーノを消したい一番の理由でしょう」
ベアドがうなずく。
「新回復薬の完成見込みは半年後の秋。8月の結婚式の後にウェイド様を亡き者にし、フラボワーノに罪を着せる。ルジンカの推定逮捕時期が9月~11月だから、計算も合う」
それと、ここからは僕の憶測だが、と前置きをするベアド。
「どうせなら新回復薬の研究内容も欲しがるはずだ」
以前、おっさんが言っていた。
治癒の一族の作る回復薬は、王宮の地下の泉が枯れたらお終いだと。
その状況を誰よりも不安視しているのは、治癒の一族自身だろう。
もし完成直前でフラボワーノが捕まれば、研究内容は国に接収される可能性が高い。
大きな利益を見込める事業だけに、そのまま国が引き継ぐか、もしくは別の組織に委ねられるか。
その時、最も有利なのはクルクミーだ。
もともと回復薬は、国と治癒の一族の共同事業だったのだ。
新回復薬は、治癒のつくる回復薬の地位を脅かす。
でも、完成させたのが治癒自身であれば面目も立つだろう。
「なあ、新回復薬に欠陥が見つかったとかデマ流してさ、秋に完成は無理だろうって情報ばらまいてみたらどうだ?」
俺が提案してみる。
「どうせなら完成間近で奪った方が楽だろ。死期を伸ばせるんじゃないか?」
「うーん・・・微妙じゃないか?」
ベアドは難しい顔をする。
「後から自分たちでゆっくり研究すればいいんだからな。それより、もたもたしてたらネレッサ嬢が妊娠するかもしれない。男児なら王位継承権はロイル様より上だ」
リコピナをロイルと結婚させても、王妃にはなれない。
「ここまでやった奴らなら、子どもも殺しそうだけどな?」
「危険すぎる。妊娠はすぐには公表されないし、子どもの性別は生まれてみなきゃわからない。その時にフラボワーノが捕まっていれば、子どもの殺害の罪までは着せられない」
他殺の可能性があれば、ネレッサの実家であるビレンチス公爵家も黙っていない。
なにより、2度も続けて王太子を殺されたとあれば、国の威信をかけ徹底的に犯人を探すだろう。
最悪、フラボワーノに着せた濡れ衣が、自分に返ってくる可能性がある。
だから、ウェイド王子の暗殺は、結婚後すみやかに行われるだろう、というのがベアドの推測だ。
「結婚式は8月8日だったっけ?」
「そうだ。何なら、8日の結婚式当日に殺されてもおかしくない」
一発で子どもができることもあるからな。
「なあ、結婚式の後、一発もやらずにウェイドが死んだら、ネレッサはどうなるんだ?」
「やるってお前・・・・やったかどうかは重要じゃない。
婚姻が成立した時点でネレッサ嬢は既婚だ。ロイル王子の婚約者になることはない・・たぶん」
「じゃあ、俺達が確実に自由の身でいられるリミットは8月8日までってことか」
「だろうな」
勝手に納得する俺達2人。
「でもねぇ、人がやっていた研究を、途中から引き継ぐのは簡単なことじゃないよ?」
じっと聞いていたおっさんが、注意深く口を挟む。
「回復薬という名前は一緒だけど、材料も製法も全然違う別物だからね。開発の続きを任せるに相応しい研究組織は他にもたくさんあるし、クルクミーに特別強みがあるわけじゃないよ。ほとんど完成している状態だからこそ、クルクミーが事業を引き継げるとしたら、完成を待つ可能性もあるかな」
せっかくフラボワーノから奪っても、自分の手に来なければ意味がない。
「確かに・・・新回復薬の利権を手に入れることが第一目標なら、危ない橋は渡らないかもしれない。子どもが男であるとは限らないし、無事に成人するとも限らない。父上の仰る通りかもしれません」
ニヤニヤするおっさん。
嬉しそうだな。
「完成発表を後ろ倒すとしたら、どのくらいの期間が可能です?」
俺が質問する。
「そうだねぇ・・私一人ですぐ決められるものではないけど・・・今からあんまり長く引き伸ばすのも不自然だし、とりあえず3か月、冬まで伸ばそうか。急げば明後日くらいには情報を流せると思うよ」
すげーな、素早いな。
「じゃあ、明後日の延期の情報を流した後に死期が伸びたら成功だな!」
「ああ。ウェイド王子の暗殺が、フラボワーノの新回復薬の利権目当てだと確定できる」
また一歩前進だ!
ここまで話して、俺はひらめいた。
「回復薬のためにクルクミーが仕組むってことが確定できたら、この内容を王様に教えてやったらどうです?息子の命がかかってるんだし、禁術使ったことなんて見逃してくれるんじゃないですかね?」
それで一気に解決しそうだ。
「ルジンカちゃん、外でそんな口の利き方しちゃダメだよ?不敬罪で捕まっちゃうからね」
珍しくおっさんが注意してくる。
王様ってのはやっぱ特別なんだな。
「悪くないアイデアだが、まだ早すぎる。ロイル様やネレッサ嬢がどう絡んでいるのか特定できてないからな」
ナイスアイデアだと思ったが、ベアドにさっそく却下される。
「仮に今陛下に報告すれば、ウェイド様を守ろうと、クルクミー侯爵に釘くらい刺すだろう。でも、もしロイル様がクルクミーと組んでいた場合、暗殺を強行する可能性がある」
「なんでよ?」
「ウェイド様亡き後、ロイル様を犯人として処分すれば、陛下のお子から王位継承者がいなくなる。
フラボワーノを示す証拠があるなら、そのまま真実を闇に葬る方をお選びになるかもしれない」
嫌だね、貴族って。
めっちゃドロドロしてんのな。
「それに、こちらがある程度の情報を掴んでいるとクルクミーが知れば、せっかく取り戻した猶予を失うかもしれないからね」
おっさんもベアドに同意する。
「言えば後戻りできないし、まだ時間はある。ネレッサ嬢やロイル様がどこまで関わっているのか、どうやってウェイド様を暗殺し、フラボワーノに罪を着せるのか。確認できるものはしてからでも遅くないだろ」
こうして方針が決まった。
今日のまとめはこんな感じだ。
・8月8日のウェイドとネレッサの結婚式までは安心。
・明後日5月9日に、回復薬の開発遅れの情報を流す
→ 死期が伸びれば、フラボワーノは回復薬の利権目当てで陥れられることが確定
・クルクミーは多分犯人。
・ロイルとネレッサがどうかかわっているか探る
・ウェイドの殺害方法を探る




