表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/50

はじまり

3/11 全体の文章を整え、ストーリーに関係ない部分を削除しました。

 俺の名前は木村広37歳独身。

 身長170センチ、体重100キロ。

彼女いない歴=年齢


 今回のお見合いパーティーもカップルになれなかった。

 隣の女のおっぱい見てるうちに終わっちゃったな。

すみませんね、女性の皆さん。

キモくて。

 でも、見なかったからって俺を選んだりしないでしょ。


 俺はモテない。

デブでブサで汗っかきだし。

近づいてくる女子なんていないからな。

結婚したければパーティーに通うしかないんだよ。



 

 外見で人を選ばない、心の綺麗(きれい)な女性を見つけたいと思っている。 

 

 俺がデブでブサなのは、そのためなんじゃないか?

 イケメンには真実の愛なんて掴めないからな。


 俺は女性を外見で選んだりしないが、もし希望が叶うなら、愛葉無限美あいばむげみちゃんに似てる子がいい。

 無限美むげみちゃんは元アイドルで俺の女神だ。


 イギリス人とのクオーターでね。

 超絶美人で、マジの妖精みたいなんだ。


 16歳でデビューしてから足かけ12年、俺は熱烈なファンだ。


 初めて見た時、雷に打たれたみたいな衝撃を受けて恋に落ちた。

 以来ずっと応援している。

 一番大切な女性と言えるな。


 アイドルを卒業して女優に転向する矢先、無限美ちゃんはデキ婚した。

 それも、新婚のイケメン俳優とドロドロの不倫劇を演じ、妊娠。

 さらに、世間のバッシングをねじ伏せるように、腹の子の父親じゃない男と電撃結婚した。


 ショックだったよ。本当に。

 正真正銘の清純派アイドルだった無限美ちゃんが不倫にデキ婚だよ?


 ネットもテレビも連日報道してて、俺は3度の食事も喉を通らなかった。

 夜食を食ってたから痩せなかったが。


 でも、俺の愛は揺らがない。

 無限美ちゃんは被害者なんだ。

 芸能界で生きていくには純粋すぎたんだよ。

 

 それに、結婚相手がお笑い芸人だったってことが俺の心を支えてくれた。

 そいつが俺に似てたんだ。

 


 あんなお笑い芸人が無限美ちゃんに選ばれたんだぞ?

 俺にもチャンスがあるかもしれん。


 それで、こうしてパーティーに通っているんだ。

 結果は出てないが。





 

 さて、もう行こう。


 今回も全然しゃべってないのに疲れたわ。

 仕事とは疲労の種類が違うよな。

 ずっと男子校だったし、女子と話すのは苦手なんだよ。

 

 

 それに今日は大切な予定がある。

 パーチーなんて外出のついでだ。


 なんと今日は!


 無限美(むげみ)ちゃんの初のエッセイ『☆恋☆の運命星(うんめいぼし)』の発売日!


 ありのままの無限美ちゃんの真実が、無限美ちゃんの言葉で綴られた、ファン必読の本。

 きっと今後の俺を導くバイブルになることは、読む前から決まっている。


 俺は予約していた本屋へ向かうと『☆恋☆の運命星』を無事入手し、浮かれて帰路についた。


 横断歩道に足を踏み出した時、頭の中は『☆恋☆の運命星』でいっぱいだった。

 信号は見なかったかもしれない。


 視界のすみに大きな影が(せま)り、気づいた時には、ありえない近さに大型のトラックがいた。


 世界がスローモーションになる。


 ゆっくり近づくトラックに、足は一歩も動かなかった。



 ドン!!という強烈な衝撃が全身を(おそ)い、体が跳ね上げられる。


 頭のどこかで、うわー、やっちゃったな、とか考えている自分がいる。


 地面が近づき、これから叩きつけられるとわかった。


 マジで死ぬかもしれない。

 まだ『☆恋☆の運命星』読んでねーのに!

 俺のバイブル・・・・


 それがこの世界での最後の意識だった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ